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蕎麦屋の品書きで時折見かける〈変わり蕎麦〉は、季節の味わいを彩るなんとも風雅な蕎麦だ。一方、最近ではまた違った切り口の〈変わり〉も登場し始め蕎麦の世界の可能性を広げている。そんな〈変わり蕎麦今昔〉の世界をご紹介します。 撮影/貝塚 隆 取材/岡本ジュン

季節を楽しむ蕎麦から、産地の味わいを食べ比べる蕎麦まで

「変わり蕎麦」とは旬の素材を練りこんだ蕎麦のこと。季節の訪れを感じる風雅な蕎麦として江戸の昔から愛されてきた。本来は江戸蕎麦御三家のひとつ〈更科〉に伝わるお家芸で、真っ白で淡白な更科粉だからこそ多種多様な味と調和する。蓬よもぎや柚子切りは定番だが、最近ではトマトやハーブといった洋風の素材も使われる。
「変わり蕎麦は色がつくので、私たちは色物と呼んでいます。ですが使う素材に決まりはないんですよ。昔からさまざまなものを練りこんで職人たちが腕を競ったのでしょう」と話すのは『布恒更科』の三代目伊島巧さん。
さて、色物が伝統的な“変わり”だとしたら、現代のそれはバラエティのある打ち方や、粗挽きのように製粉で変化をつけた蕎麦かもしれない。
『ら すとらあだ』では多彩に変化をつけた蕎麦を出す。スペシャリテは平打ちだ。「イタリアンの料理人さんとコラボレーションした時、タリアテッレをイメージして作ったのが始まりです」と店主の日比谷吉弘さん。
この平打ち、最近では若手の蕎麦屋で見かけることも増えている。こうした蕎麦は産地や生産者ごとに異なる蕎麦の個性を生かすためのもの。蕎麦の世界もワインのようにテロワールや生産者を問う時代が始まっているのだ。

布恒更科(最寄駅:大森海岸駅)

江戸の職人たちが腕前を競い合った伝統の“色物”

『布恒更科』は藪蕎麦、砂場と並ぶ江戸蕎麦御三家といわれる更科の直系で1963(昭和38)年創業。
蕎麦の実の芯から取れる一番粉だけで打つ真っ白い更科蕎麦の他に、月ごとに変わり蕎麦を打つのは先代からの伝統だ。
春の桜海老、初夏の木の芽、夏のトマトなどをはじめ、季節ごとに常に新しい試みにも挑戦している。

[住所]東京都品川区南大井3-18-8 [TEL]03-3761-7373 [営業時間]11時半~14時40分LO、17時~19時50分LO ※ランチタイム有 [休日]日、祝日の夜

ら すとらあだ(最寄駅:中野坂上駅)

蕎麦の可能性を模索する革新のキーワードは“産地”

「のど越しではなく、噛みしめて美味しい蕎麦を」と、できる限り産地を訪ねて畑を知り、生産者と話すことで知識を深めて蕎麦を打つ。
『ら すとらあだ』は削ぎ落としたようにシンプルでピュアな料理と、お燗でも美味しい日本酒が充実している。
夜はおまかせコースのみで、形状の異なる蕎麦や産地違いを3種類ほど味わえる。

[住所]東京都中野区本町2-41-2 [TEL]03-6276-8364 [営業時間]木12時~14時、火・水・金18時半~19時半最終入店、土12時~15時 ※ランチタイム有 [休日]日・月

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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