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「ジロリアン」とも呼ばれる熱狂的なファンを持ち、首都圏を中心に全国で41の直系店舗がある「ラーメン二郎」。その超人気ラーメン店をこよなく愛し、1人では行きづらいと思っている客の“ガイド役”を買って出ている青年がいます。早稲田大学大学院生の「清水くん」です。2020年1月から「ラーメン二郎」に一緒について行く「レンタル二郎食べる人」のサービスを本格的に開始。160人以上を「ラーメン二郎」に導きました。その“カリスマジロリアン”のラーメン放浪記です。

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「ニンニク入れますか?」

「ラーメン二郎」三田本店で修行を積んだ酒井英勝さんが開いた「二郎系」ラーメン店「いごっそう」の店舗の外には「ニンニク入れますか」という文字が掲げてあります。これは本家や「二郎系」のお店での注文の際に実際に聞かれる言葉です。

「らーめん いごっそう」の側面には、「ニンニク入れますか」の垂れ幕が

「二郎系」は、本家と同様に無料でトッピングをしてくれるお店がほとんどです。無料のトッピングとは、例えばニンニク(粗みじんのにんにく)、ヤサイ(もやしとキャベツ)、アブラ(背脂)、カラメ(醤油)などです。

麺が茹で上がると「ニンニク入れますか?」と店員さんから聞かれ、そのタイミングで「ニンニク・ヤサイ・アブラで」のようにその他のトッピングもどうするかを一緒に伝えます。その注文の所作はジロリアンの中で「コール」と呼ばれています。初心者にとっては一見呪文のような言葉で、この頼み方やルールがよくわからないので僕をレンタルしたい、という依頼理由が圧倒的に多いです。

この「ニンニク入れますか?」という言葉を生んだのが、「いごっそう」の酒井店主ということは有名な話です。「コール」が生まれた経緯についても酒井店主に聞きました。

人気店の「二郎系」ラーメンは効率が命

「いごっそう」ではパートの女性や奥さんがヘルプに入ることもありますが、基本的に酒井店主一人で切り盛りをしていて、食べに行く度にいつも忙しそうです。人気店は常に満員状態なので、いかにお客さんを待たせずに早くラーメンを提供ができるかが求められています。

(酒井店主)「当時働いていた『ラーメン二郎』では、『ニンニクサービス中』と書かれた紙が壁に貼ってあるだけで、注文の仕方が今のようにお客さんに浸透していなかったんだよね。だから『二郎』に初めて来るお客さんは、最初にトッピングを伝える人もいてさ。そうすると親父(山田総帥)に『後で聞くからね』と言われて、萎縮して苦い思いをしたまま店を去って行くお客さんもいたりして。親父は優しくて良い人なのに、お客さんに勝手に怖い人と思われがちだったのが残念だったよ」

「二郎」や「二郎系」ラーメンは一度に5、6杯もの麺を茹でる上に、量を沢山食べるお客さんが多く、麺を茹でるのにとても時間がかかります。僕もバイトをしていたのでわかるのですが、一杯の注文で生まれたロスタイムがたとえ数秒だったとしても、繁盛店ではこの数秒の積み重ねが、お店にとってもお客さんにとっても大きなデメリットとなります。その光景を見かねた当時の酒井店主が生んだのが「ニンニク入れますか?」というコールでした。この言葉によって注文時に起こるすれ違いがなくなり、お店の回転率が大きく向上したのです

丸っこくて食べやすい「いごっそう」の麺 「いい材料を使えば美味しい」

「いごっそう」のラーメンの特徴は麺が「二郎」のゴワゴワした感じではなく、馴染み深い感じですね。中華蕎麦のような丸っこくて食べやすい麺ですが、スープを飲むと「二郎」の三田本店を彷彿とさせるような味わい。豚のお出汁の旨味がグッときます。ヤサイもクタクタで美味しいです。

「らーめん いごっそう」のらーめん

お店のこだわりについても教えてもらいました。

(酒井店主)「特にないけど、いい材料を使って作れば美味しい。全部がダメとは言わないが、外国産のお肉を使ったり、安いもやしを使ったり、コストを下げて見た目だけ大きくして提供するのはどうなの?って思っちゃうなあ。量も美味しく食べられる量でいいんじゃないのって思うんだよね。食べ盛りの子なんかは食べ切ることができるだろうけど、中には残す人もいるじゃない?作ってる側は残されると良い気はしないよね」

オープンの時から20年使っているエスビーコショーの缶

(酒井店主)「(トッピングを増やせる)『マシ』っていうのは昔から『二郎』にあったよ。三田の親父さんの真似をして僕も昔はやっていたけど、やっぱり食べ切ってほしいし、量が多すぎると美味しく食べられないでしょって思うのよ。最後は食べ切ることが戦いになってない?最初から最後まで美味しく食べてほしいよね」

酒井店主にとっては当たり前のことですが、材料へのこだわりが美味しさの秘訣でした。適量での提供という点についても、注文のコールを生んだ背景にあったお客さんへの気遣いと同じように、「とにかくお客さんに美味しく食べてもらいたい」という酒井店主の思いが感じられました。

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おとなの週末Web編集部
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