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脂肪を落とす「有酸素運動」とは?

ダイエットでは、短距離走や筋力トレーニングなどの激しい「無酸素運動」を短時間行うよりも、ウォーキング、サイクリング、水泳などのそれほど激しくない「有酸素運動」を長時間行う方が良いと言われます。感覚的には、脂肪を落とすには激しい運動の方が良いような気がしますが、なぜそれほど激しくない運動の方が良いのでしょうか?

そもそも「有酸素運動」、「無酸素運動」とは何でしょうか?
また、具体的にはどのような運動をどれだけ行えば良いのでしょうか?
今回はそのような疑問に焦点を当てます。

脂肪を落とすなら無酸素運動より有酸素運動

食事で摂取したエネルギーは、グリコーゲン(糖質)として肝臓などに蓄えられますが、余った分は中性脂肪として貯蔵されます。したがって摂取した分だけ運動などでエネルギーを消費すれば、脂肪が増えるのを防ぐことができます。有酸素運動でも無酸素運動でもエネルギーを消費するので、「太らない」ためにはどちらも効果はあると言えるでしょう。しかし、一度ついてしまった脂肪を落とすのは、無酸素運動ではなく有酸素運動なのです。

有酸素運動では、酸素を使って中性脂肪を分解し、エネルギーを取り出します。ところが運動の強さが増していくと、酸素の供給が追い付かなくなり、酸素を使わずに糖質からエネルギーを取り出す解糖系という代謝が中心となります。(参照[3])

これが無酸素運動で、脂肪はあまり分解されないのです。なお、「無酸素」とは呼吸をしていないということではなく、細胞レベルでエネルギーを取り出すのに酸素を使っていないという意味です。

ウォーキングなどの有酸素運動は脂肪燃焼に効果的

筋力をつけるなら無酸素運動

太りにくいスリムな体を作るなら、脂肪を落とすだけでなく、筋肉をつけることも大事です。筋力を鍛えるなら、有酸素運動よりも無酸素運動の方が効果的です。無酸素運動は糖を消費し、筋力と基礎代謝を向上させます。(参照[4])

これについてはまた別の機会に取り上げたいと思います。

必要な運動を求めてみましょう

運動によってどれだけのエネルギーを消費するかは、次の式で与えられます。(参照[5])

エネルギー消費量(kcal)=1.05×METs×時間(時)×体重(kg) (式1)

METsとは運動強度の単位で、安静時と比較して何倍のエネルギーを消費するかを示したものです。(参照[6])

国立健康・栄養研究所がMETsの一覧表を公表しています。(参照[7])

この表からMETsの値を求め、体重と運動時間を入れると、運動で消費されるカロリーを自分で計算することができます。

(計算例)
カルボナーラ・スパゲッティ(830kcal)(参照[8])を食べたときに、どれだけの運動をすれば摂取したカロリーを消費できるか計算してみましょう。

まず、どのような運動をするかを決め、METsを求めます(下記の表を参照)。たとえば立位作業では、METs=3.0となります。

(式1)に、分かっている値を入れます。
エネルギー消費量=830(kcal) (カルボナーラのカロリー)
METs=3.0 (立位作業のMETs)
体重=60(kg) (ご自身の体重)
これから、必要な運動時間を計算することができます。
時間=830÷(1.05×3.0×60)=4.4(時間)=約4時間半

METs一例
活動 METs
睡眠 1.0
入浴 1.5
掃除:掃き掃除、ゆっくり、楽な労力 2.3
皿洗い(全般、楽な労力) 2.5
調理や食事の準備 3.5
座位作業(パソコン作業、デスクワーク等) 1.5
立位作業(商店の販売員、書類整理等) 3.0
散歩 3.5
階段を上る 4.0
自転車に乗る(レジャー、通勤、娯楽) 4.0

出題:三井能力開発研究所 代表取締役 圓岡太治

(参考)
[1]「令和元年 国民健康・栄養調査報告」p116(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000710991.pdf
[2]「日本食品標準成分表 2020年版(八訂)」(文部科学省 科学技術・学術審議会 資源調査分科会)
https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_kagsei-mext_01110_011.pdf
[3] 無酸素性代謝閾値 / AT(厚生労働省、e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-056.html
[4]トレーニング:無酸素運動とは(公益財団法人 長寿科学振興財団)
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shintai-training/musanso-undou.html
[5]「健康づくりのための運動指針2006」p6(運動所要量・運動指針の策定検討会)
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/programs/pdf/guidelines2006.pdf
[6] メッツ / METs(厚生労働省、e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-004.html
[7]「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/programs/2011mets.pdf
[8]摂取カロリー早見表(株式会社タニタ)
https://www.tanita.co.jp/content/calorism/table/index2.html

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圓岡太治
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