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チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介。今回は、ひとり旅で長野県へ出かけたときに出合ったチャーラーのお話。地元で愛される食堂のそれは、理想のチャーラーでした。

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私事で大変恐縮だが、12年間乗った車を4月から社会人となる長男に譲り、前から欲しかった車を購入した。4年落ちのルノー・カングー。

機材の積み下ろしを考えると、スライドドアは必須だが、国産車はどれもデザインが今ひとつ。それがカングーを選んだ理由だった。実際に乗ってみると、視界の広さや、ややかためなシートの座り心地、高速での安定性などハンドルを握るのが楽しくなった。

行き先を決めないひとり旅

休日には行き先を決めずにカングーで旅をするようになった。好きな音楽を聴きながら、ひたすら国道を走り続けるのだ。これがまた楽しい。

午前中に出発して、夕方に帰宅することを考えると、片道約3時間。旅先で昼食を摂って、少し観光をするというスケジュールとなる。そこで考えたのは、昼食を“チャーラー”にすれば、そのまま「チャーラーの旅」になるのだ。

愛車のルノー・カングー
愛車のルノー・カングー

3月初旬の日曜日、黄砂と雨で汚れていたカングーを洗車したら、無性に出かけたくなった。気がついたら、国道19号線を愛知県春日井市から長野県方面へと走らせていた。19号線は、東名春日井インターを超えると、渋滞が少なくなる。信号も少ないのでドライブにはぴったりなのだ。

岐阜県多治見市を抜けて、恵那市、中津川市と、どんどん北へ。出発時は晴れていたのに、中津川へ入ったあたりから雪が強くなってきた。せっかく洗車したのに……。

岐阜県と長野県の県境まで来たところで昼になった。このまま19号線をまっすぐ行っても、飲食店は少ない。あったとしても観光客向けの店くらいしかない。そこで153号線で飯田方面へ走らせた。

『中華そば・大衆食堂 新京亭』外観。店はJR飯田線飯田駅から徒歩1分
『中華そば・大衆食堂 新京亭』外観。店はJR飯田線飯田駅から徒歩1分

飯田へ入ってからコンビニに車を止めて、チャーラーが食べられる店をスマホで検索。見つかったのが、JR飯田駅前にある『中華そば・大衆食堂 新京亭』である。店のHPによると、創業は1967(昭和42)年。半世紀以上にわたって地元で愛されているようで、これは期待できる。

店に到着したのは、13時半頃。あえて昼のピークを避けたのだが、店の前に5、6人が待っていた。やはり、人気店のようだ。店の前に置いてあった受付用紙に名前を書いてしばらく待つことに。

5分ほど経ったところで名前を呼ばれて店内へ。メニューを見ると、中華そばやチャーハン以外に麺類は五目そばや焼きそば、ご飯ものにカツ丼、親子丼などもあった。それが「大衆食堂」を店名に冠している所以だろう。

メニュー。「揚げ餃子」や「トン汁」も気になる
メニュー。「揚げ餃子」や「トン汁」も気になる

今でこそ街から食堂が消えつつあるが、実は、昭和30年代から40年代は食堂こそが飲食業界の花形だったという。何しろ、うどんやそばなどの麺類や丼もの、定食、さらには洋食や中華まで楽しめる、今で言うファミレスのような業態だった。

昭和の終わり頃から平成にかけてラーメンや中華、洋食などの専門店が増えると、食堂は人気のメニューを絞り込んで提供するようになった。おそらく、ここ『新京亭』も同様だろう。昔ながらのカツ丼や親子丼に心が揺らいだが、「中華そば」(650円)と「チャーハン」(750円)を注文した

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永谷正樹
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