「ギャンブル飯」はおあずけ……
バス通り沿いにラーメン屋やお蕎麦屋が見えたし、スタジオの人達も利用する店だろうからそこに行ってみる、というテもあったけど、待て待て。調布には「映画」ともう一つ、町のシンボルがあるじゃないですか。
そう、競輪の「京王閣」。ギャンブラーの集うそちらへ行ってみれば、彼らの好む食がきっとある、筈。
「京王閣」を見に行くのも初めてだったんだけど、競輪場に併設して「大井競馬場」の場外馬券売り場、「オフト京王閣」なんてものもあった。考えてみればここと、府中の競馬場にボートレース場。多摩川沿いって公営ギャンブル施設の集積地でもあるんですね。
さて行ってみたら、「京王閣」の周りはがらんとしてた。今日は競輪は開催されていないみたい。他の競輪場での「車券」を買いに来たのであろう人達が、ぽつぽつと入って行くだけでした。
中に入って「ギャンブル飯」というアイディアもあったんだけど、これじゃ食堂が開いてるのかどうかも分からない。入場料50円がムダになってしまう恐れもあるわけだ(後に場外時は「無料」と知った)。それで取り敢えず、最寄りの京王多摩川駅前を歩いてみました。
「ギャンブラーの止まり木の店」
そしたらありましたよ、「お食事処 三上」。もうこのたたずまいを見たら、入らないなんて選択肢はあり得ませんわね。中はモロ、「昭和の食堂」。4人掛けのテーブルが4つだけで、奥は厨房という造り。1つだけテーブルが空いてたので、何とか座ることができました。お昼の1時過ぎだけど、もうお酒呑んでる人がいるよ、いいなぁ。またコップ酒が、こういう町には似合う似合う。
「真鯛塩焼き定食」750円。「豚ミソ定食」680円……。何にするか迷ったけど、「もつ煮込み定食」660円ナリ! を注文。出て来たのを見てもう笑うしかありませんでした。ご飯に煮込み、味噌汁に冷奴に刻みタクアン、とサービスよすぎでしょ!? これでこの値段でいいの、と言いたくなってしまう。
食べてみると煮込みは、もつやその他の具材に味噌が沁み込んでて、ほっこり優しい味。競輪で負けた帰り、なけなしの金で注文した客にとっては癒しの味なのに違いない。いやぁこういう店は、こういう町にはなくてはならない。ニーズに応えて、ずっとある店なんだろうなぁ。また一つ、町の味わいを堪能させていただきましたっ!!
店を出てふと見ると、「勝新太郎や市川雷蔵が愛したうなぎの味を、今に伝える店」なんてのもありました。でもやっぱり私には、「ギャンブラーの止まり木の店」の方が合うなぁ。
「映画とギャンブルのまち」調布。2つの顔を満喫する、今回も大正解の旅となってくれました。感謝―――