見た目を美しくするための工夫とは?
寿司というのはいつも同じ大きさに握らなくてはいけません。店に行くたびごとに大きさが違っていたら、なんだか騙されているような気分になるものです。
私は一貫のシャリを15gと決めています。切り身のネタが10gなので合計25g。もちろん、コハダや海老などその時々で大きさが違うものもあるので、バランスを考えてシャリの量も変えます。ただし、寿司屋の盛り付けをいう「盛り込み」は、上から見たときにどのネタも同じ大きさに見えるように握ります。寿司は見た目が命。見た目の大きさがバラバラだと旨そうに見えませんからね。
巻物の場合、太さを揃えます。芯のキュウリが太いかっぱ巻きのシャリは一番少なく、沢庵巻き、鉄火巻き、かんぴょう巻きとなるにしたがってシャリが多くなる。しその葉が一枚入っているだけの梅しそ巻きはシャリばっかりです。
盛り込んだときの巻物の切り口の形はそれぞれ違います。かっぱ巻きや沢庵巻きは長方形で、鉄火巻きは正方形、かんぴょう巻きはかまぼこ型にするというのが江戸前の流儀。切る数も、鉄火巻きは六つ切りなのに対してかんぴょう巻きは三つ切りにします。
気をつけていただきたいのが、かんぴょう巻きの食べ方。しっかり味つけしたものを噛んで味わうものですから、醤油をつけないで食べることをお勧めします。ただし、通称「鉄砲」とも呼ばれる山葵(わさび)を入れたかんぴょう巻きは醤油をつけて食べます。
(本文は、2012年6月15日刊『寿司屋の親父のひとり言』に加筆修正したものです)
すし 三ツ木
住所:東京都江東区富岡1‐13‐13
電話:03‐3641‐2863
営業時間:11時半~13時半、17時~22時
定休日:第3日曜日、月曜日
交通:東西線門前仲町駅1番出口から徒歩1分