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新鮮でも、塩辛作りにはイカの冷凍が不可欠

ところが、ここ数年はその、いかの塩辛作りに暗雲が立ち込めております。はい。「アニサキス」問題です。ニュースでもたびたび取り上げられているので、ご存じの方も多いでしょう。

アニサキスは魚介類に寄生している線虫の一種ですが、その幼虫が生鮮魚介類にはけっこういるのです。スルメイカだけでなく、アジやサバなどにも寄生していて、魚を生食したことによる、アニサキス中毒が増えているそうです。幼虫が胃壁や腸壁に刺し入ることで猛烈にお腹が痛くなるなど、やっかいな事態となりかねないのです(泣)。

こうしたことから近年、厚生労働省ではアニサキス対策として「内蔵は生で食べない」と注意喚起しています。イカの肝を生で利用する塩辛などは、もってのほかとなります。

スルメイカの肝は秋に大きく成長しておいしくなるが、生食には注意が必要

もちろん、スルメイカの胴などは、アニサキスを目視で除去すれば問題はないのですが、一般的な対策としては「加熱するか、凍結すること」がすすめられています。特に、イカを生食する場合は「冷凍してから」ということが常識になりつつあります。

厚生労働省のホームページによれば、「-20度で24時間以上冷凍する」ことで、アニサキスは死滅するのだそうです。スルメイカの日本一の産地・青森県のホームページにも同様の注意喚起がなされていました。

しかし、ここで問題があります。家庭用の冷凍冷蔵庫はおおむね「-18度までの冷凍機能」のものが多く、国や県のいう「-20度で24時間以上」の冷凍は家庭ではほぼ不可能です。業務用の冷凍庫がなければできないことなのです。いったい誰が考えた施策なのか知りませんが、「チッ、まったく行政のやることは~」と舌打ちしたくなります。

実際、スーパーの売場などでは、「刺身で食べる場合は、48時間以上冷凍する」などと明示し販売しております。冷凍温度の足りない分をより時間をかけて対策しようということでしょう。

店先のスルメイカには、刺身で食べる際は「48時間以上冷凍を」との表示が

このやり方が科学的に正しいのかは、諸説あるようです。それでも経験上、オイラはこの方法でいつもスルメイカを冷凍したうえで、手作りの塩辛を作っております。幸いアニサキスでお腹が痛くなることもなく、5~6年を迎えております。ただし、家庭用冷凍冷蔵庫の冷凍能力は機種により大きく異なります。なので、冷凍して召し上がる際はあくまで自己責任でお願いいたします。

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手間をかけても作りたい絶品塩辛への道...
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この記事のライター

沢田浩
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