今は無症状でも……怖いアニサキスアレルギー
無症状がほとんどということで少しホッとしている人もいるかもしれません。しかし、長期間にわたり何度もアニサキスを体内に入れてしまうと、アニサキスアレルギーになってしまう恐れがあります。
バケツ理論という言葉を聞いたことはありませんか? これは、体内には、アレルギーの原因となる物質(抗原)を入れるバケツが存在していて、その容量を超えるとアレルギー反応が起きてしまうという理論です。
アニサキスを取り込み続けるとアニサキスの抗原を入れるバケツの容量を超えてしまい、結果的にアニサキスに対してアレルギー反応を起こすようになってしまうのです。ただし、バケツの大きさには個人差があり、バケツが大きい人はアニサキスを取り込み続けても一生、アレルギー反応を起こさないこともあります。花粉症などもこれと同じメカニズムです。
いったんアニサキスに対するアレルギー反応を起こす体質になってしまうと、たとえ取り込んだアニサキスが死んでいたとしても、じんましん、重篤な場合は、アナフィラキシーショックなどのアレルギー症状が表れてしまいます。加熱したりしてアニサキス自体は死んでいても、アニサキスが持つアレルギーの原因物質(抗原)は死滅しないためです。こうなってしまうと、お刺身どころか、焼き魚、煮魚などを食べても症状が出てしまうことに……。
防止策は、魚介類を生食するときは日頃から注意を払い、アニサキスを体内に取り込まないようにすることです。
アニサキスから身を守るためには?
アニサキスを体内に取り込まないようにするには以下のような方法があります
◆新鮮な魚を選ぶ
魚が死んでしまうと内臓に寄生していたアニサキスは筋肉内、つまり身の部分に入り込んでしまうため、できるだけ新鮮な魚を食べることはアニサキス予防の鉄則です。魚を丸ごと購入する場合は、販売店で内臓を取り除いてもらい、氷や保冷剤で冷やして持ち帰ると安心感は高まります。
◆魚を切るときに目視で除去する
サクで魚を飼ってきて刺身を作るときや、魚をさばくときは手元にライトを当てて視界を明るくして目視でアニサキスを取り除きましょう。ただし、あちこちに見つかったなどという場合には、生食は避けましょう。
◆内臓を生で食べない
内臓はアニサキスの棲み処です。内臓は絶対に生では食べないようにしましょう。
◆-20℃で24時間以上冷凍する
アニサキスは-20℃で24時間以上冷凍すると死滅することがわかっています。そのため、遠洋で獲れて一度冷凍されたマグロなら安心度は高いと言えます。ただし、近海で獲れたマグロなどは冷凍されていないものもあり、その場合のリスクはほかの魚と変わりません。
家庭用冷凍庫の場合は-20℃という基準を満たさないものもあるため、冷凍してから刺身にする場合には、24時間よりもかなり長い時間、冷凍しなくてはならない場合もあります。
◆加熱処理をする
しっかり火を通して食べることが安心度100%の予防策です。厚生労働省では、「70℃以上もしくは60℃なら1分以上加熱」することを推奨しています。