「鍋焼きラーメン」の特徴 高知・須崎「鍋焼きラーメン」の特徴は「鍋」に入ったアツアツの状態で提供する独特のスタイルです。「鍋焼きラーメン」を注文すると必ずタクアンの古漬けが添えられ、ほとんどの人がライスを注文する文化も特…
画像ギャラリー新横浜ラーメン博物館(横浜市)は、30周年を迎える2024年へ向けた取り組みとして、過去に出店した約40店舗が2年間かけて3週間のリレー形式で出店するプロジェクト「あの銘店をもう一度」を2022年7月1日から始めています。このプロジェクトにあわせ、店舗を紹介する記事の連載も同時に進行中。新横浜ラーメン博物館の協力を得て、「おとなの週末Web」でも掲載します。
第10弾は、高知・須崎(すさき)「谷口食堂」です。
高知・須崎のご当地ラーメン
第10弾は、高知県須崎市のご当地ラーメンで、今はなき鍋焼きラーメンの元祖「谷口食堂」です!
【あの銘店をもう一度・第10弾・「谷口食堂」】
出店期間:2023年1月10日(火)~2023年1月30日(月)
出店場所:横浜市港北区新横浜2-14-21
新横浜ラーメン博物館地下1階
※第8弾「大砲ラーメン」の場所
営業時間:新横浜ラーメン博物館の営業に準じる
・「谷口食堂」店舗概要
店舗名:高知・須崎「谷口食堂」(昭和55年閉店)
創業:戦後まもなく
創業者:谷口兵馬(たにぐち・ひょうま)
・過去のラー博出店期間
2013年1月26日~2013年4月7日
岩岡洋志・新横浜ラーメン博物館館長のコメント
「四国というと、うどん文化圏ですが、高知県須崎市と徳島県徳島市には、ご当地ラーメンが存在します。須崎は『鍋焼き』、徳島はチャーシューではなく肉うどんに見られるすき焼き風の味付けの細かい肉がのっています。うどん文化圏でありながら、地元の人から圧倒的な支持を受けているのも興味深い点です。さて、鍋焼きラーメンですが、一番苦心したのは、麺が鍋で煮込んで伸びないようにすることだったそうです。今まで食べたラーメンでは体験できない熱いスープが新鮮で、ほとんどの人がご飯を一緒に食べます。このご飯は四国で生まれた香り米を使用しています。地元の人は食べ方にそれぞれうんちくを持っており、鍋焼きラーメンが定着していることを物語っています。現在、32店舗(2022年12月現在)で提供されています」
高知県須崎市ってどんなところ?
須崎市は、高知市から車で約1時間。豊かな海と温暖な気候に恵まれ、生産量日本一を誇るミョウガをはじめハウス園芸や土佐文旦、ポンカンなどの柑橘類の栽培が盛んで「鍋焼きラーメン」の街として県内外で有名です。
市の西部を流れる清流としても有名な新荘川は、絶滅種に指定されたニホンカワウソの生息が日本で最後に確認された川としても有名で「かわうそのまちづくり」に取り組んでいます。ニホンカワウソと鍋焼きラーメンをモチーフにした「しんじょう君」が2016年、ゆるキャラグランプリに輝いています。
「鍋焼きラーメン」の特徴
高知・須崎「鍋焼きラーメン」の特徴は「鍋」に入ったアツアツの状態で提供する独特のスタイルです。「鍋焼きラーメン」を注文すると必ずタクアンの古漬けが添えられ、ほとんどの人がライスを注文する文化も特徴のひとつです。ライスが鍋の蓋の上にのせられてくる姿は誰もが驚く光景です。
「鍋焼きラーメン」の歴史
高知・須崎「鍋焼きラーメン」の歴史は古く、発祥は戦後間もなく須崎市の路地裏に開店した「谷口食堂」。街の人に愛される存在の食堂で、店主の谷口兵馬さんが出前のラーメンが冷めないようにホーロー鍋を使ったことが始まりです。
当時は「鍋焼き中華そば」という名称で「鍋中(なべちゅう)」と呼ばれるほど愛されていましたが、昭和55年に後継者不在という理由から、惜しまれながら閉店しました。「谷口食堂の『鍋中』をもう一度食べたい!」と願う人が多いことから、「谷口食堂」の味を目指して「鍋焼きラーメン」を提供するお店が増え、現在に至るまで鍋焼きラーメン文化が受け継がれています。また、現在人口20,285人(令和4年3月現在)の須崎市で36軒が「鍋焼きラーメン」を提供しています。
日本一熱いラーメン!!
高知・須崎「鍋焼きラーメン」は、日本一熱いご当地ラーメンとも言われています。そこで新横浜ラーメン博物館では、2013年、札幌、東京、博多のそれぞれのラーメンと温度を比べる実験をおこないました。
実験の結果「鍋焼きラーメン」が断トツの1位となりました。また、提供されてから5分後の温度も計測したところ「85.3℃」と5分後でも他の地域のラーメンよりも高い温度でした。よって、日本一熱いご当地ラーメンといっても過言ではありません。
「谷口食堂」復活プロジェクト
高知・須崎「鍋焼きラーメン」発祥の店である「谷口食堂」は、閉店から30年以上経過した今でも市民にとって伝説的なシンボルです。「谷口食堂」を復活させるのは、須崎商工会議所を中心とした有志団体『須崎名物「鍋焼きラーメン」プロジェクトX』。
鍋焼きラーメンを地域活性化の起爆剤にしようという思いから平成14年に結成し、「谷口食堂」の末裔の方や常連だった方からの聞き込みを元に何度も試作・試食を繰り返し、幻のレシピを復活させました。
完成した「谷口食堂」の味を全国の人に知ってもらいたいというメンバーの熱い思いから2013年、新横浜ラーメン博物館にて期間限定で出店することになりました。
「谷口食堂」の鍋焼きラーメン
スープは親鳥のガラ、野菜類を炊きこんだ、やや甘みのある味わいです。醤油だれに使用する醤油は地元「丸共味噌醤油醸造場」の濃い口正油を使用。
麺も地元「関西麺業」のストレート細麺。もちもちした食感で、ほんのりとした甘みもあります。鍋焼きラーメン用ということもあり、伸びにくい麺に仕上がっております。
具材は親鳥の肉、ざく切りにした青ネギ、生卵、そして地元「けんかま」のちくわ。箸休めに古漬け(たくあん)。
そして地元ではほとんどの人が注文するご飯は、仁井田産の香り米を使用。名前のごとく、香りのあるお米で、鍋焼きラーメンとベストマッチです。
「鍋焼きラーメン」の楽しみ方
地元須崎では、それぞれ好みの食べ方があります。その一例を紹介いたします。
1-すき焼き風
鍋焼きラーメンの蓋を器代わりに、生卵の黄身を麺につけて食べる!
2-玉子くずし
最初から生卵をくずしてスープとのマリアージュを楽しむ!
3-ごはんと一緒
ご飯の上にスープを含んだ麺を乗せて味わう!
4-最後に玉子
生卵を麺の下に沈め、熱いスープの熱で自然に生卵が固まるのを待ち、最後に食べる!
谷口食堂は『須崎名物「鍋焼きラーメン」プロジェクトX』さんの熱意によって閉店したお店が新横浜ラーメン博物館で復活を遂げました。期間が終了すると、また幻のラーメンになりますので、この機会に是非お召し上がりください。時期的にもぴったりのラーメンです。
※同じ屋号のお店が存在しますが、本企画で出店する谷口食堂は高知・須崎「鍋焼きラーメン」の元祖であり、本企画時のみ復活するお店です。
『新横浜ラーメン博物館』の情報
住所:横浜市港北区新横浜2-14-21
交通:JR東海道新幹線・JR横浜線の新横浜駅から徒歩5分、横浜市営地下鉄の新横浜駅8番出口から徒歩1分
営業時間:平日11時~21時、土日祝10時半~21時
休館日:年末年始(12月31日、1月1日)
入場料:当日入場券大人380円、小・中・高校生・シニア(60歳以上)100円、小学生未満は無料
※障害者手帳をお持ちの方と、同数の付き添いの方は無料
入場フリーパス「6ヶ月パス」500円、「年間パス」800円
※協力:新横浜ラーメン博物館
https://www.raumen.co.jp/