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よくしゃべる人に“変身”

現在の、1980年代以降の中島みゆきの肉声を知る人は、彼女がおしゃべりの達人と思っているかも知れない。彼女が言葉少ない女性から、よくしゃべる人に“変身”したのには理由がある。そのきっかけは1979年に始まり、1987年までDJを務めたニッポン放送の「オールナイトニッポン」にある。

1980年代初期、おしゃべりが上手になった後の中島みゆきにインタビューした。初めてのインタビューの時と違って、時にはジョークを交えてよくしゃべってくれた。何故そんなに変われたか質問した。「オールナイトニッポン」のDJのオファーを受けた時、自分がしゃべれるか自信は無かったと言う。

“で、どうしようか迷って迷って、考えたわけ。その時に思いついたのが、キャラクターを変えてしまえば良いのだということ。番組が始まったら、ディレクターがキューを出したらスウィッチを入れて、キャラクターを変える。そう思ったら楽になったし、しゃべれるようになったというわけ”

性格~キャラクターを変えたからと言って、あれほど無口だった人間が、そんなにすぐにおしゃべりの達人になれるわけが無い。中島みゆきは元々、ボキャブラリーの豊かな人だったから、おしゃべりの達人になれたのだ。

オンのスウィッチを入れて恥ずかしさを消す

人は誰でもラジオDJになれるわけではない。やはり素養というものが必要で、そのひとつが豊富なボキャブラリーだ。恥ずかしいというオフの状態から、オンのスウィッチに入れて恥ずかしさを消す。それが出来たのも中島みゆきという人間の潜在能力の高さなのだ。

「オールナイトニッポン」のDJ以降のインタビューでの中島みゆきは、よくしゃべり、ジョークが得意な明るい人間になっていた。

中島みゆきの名盤の数々

岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。最新刊は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。

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