ひとひねりあるお酒に心奪われる『李白酒造』
さて、ラストを飾るのは日本酒の酒蔵。松江市内の『李白酒造』!
実はワタクシ、この酒蔵にうかがう前。すでにこちらの日本酒を島根で飲んでおります。だって前泊した旅館の夕食のドリンクメニューにあったんだもん。そりゃ飲むでしょうよ。
これが“超辛口”っていうだけあって、カミソリのようにシャープな喉ごしと、ただ鋭いだけじゃない馥郁とした米の味わいを感じさせる、思わず「旨ッ、プハー!」って声に出ちゃうような銘酒でして、もう旅館の部屋に戻ってからも、酒蔵に行けることでワクワクしちゃいましてね。
ワクワクしてたら、飲み足らなくなっちゃて、旅館の前のコンビニがあるんで、ブラブラ行ったらそこに売ってるんですよ『李白酒造』の別のお酒が。で、買ってひとりで部屋でまた飲みだしちゃった。
この特別純米がまた、コックリとした力強さがあるのにクイックイッいけちゃうの。すでに酒蔵行く前から、いい気分で『李白酒造』の虜よ。そんな状態でうかがいました『李白酒造』。
『李白酒造』は国内消費だけではなく、海外輸出にも力を入れている酒蔵。先代の4代目社長が1980年代から輸出にも力を注ぎ、アメリカを中心に香港やヨーロッパなど、生産量の4割近くが輸出されているという。
さらにこの酒蔵の特徴は杜氏による酒造りを辞めたこと。これはこの地方の酒造りを支えていた出雲杜氏の高齢化という理由もあるが、「伝統を継承しながらも、杜氏に頼らず社員だけで酒造りができるよう、データ化を進めて、後世に伝えていきたい」。
というのが、5代目蔵元・田中裕一郎社長の想いである。
そしてありがとうございます、『李白酒造』では無料試飲ができます! うかがった日に試飲できたのは4種。
「【冬季限定】李白 純米吟醸 しぼりたて」(720ml・1760円)、「李白 純米吟醸 WANDERING POET」(720ml・1760円)、「李白 純米大吟醸」(720ml・3300円)。そして『李白 純米本みりん」(720ml・990円)。
すでに飲んで感動していた純米よりもグレードが上の吟醸酒及び大吟醸酒ですからね。もう「旨い」だのなんだの書くのもヤボってもんですよ。
そして特筆すべきは「みりん」!
「みりん、飲むの?」
って思う人もいるかもしれませんが、ちゃんと造ったみりんって、料理に使えば料理が格段に旨くなるのはもちろん、お酒として飲んでもうまいんですよね。ハンフリー・ボガードが好きだったリキュールのドランブィの日本版みたいで、食後酒にピッタリだと思う。
田中社長曰く、料理に使う時、普通はみりんって沸騰させてアルコールを飛ばすもんだけど、この「李白 純米本みりん」は、アルコールを飛ばさなくていいのも、また、「うまい!」とのこと。なんかわかるわ〜。
当然自分用にお酒を買いましたが、実はまだこの原稿には登場していないお酒を買った。
『李白酒造』では、一般的な清酒用の酵母以外に、花酵母という酵母を使った日本酒も造っている。これは田中社長が出身大学の東京農業大学醸造科でも研究していた酵母。それを使ったお酒って飲んでみたいでしょ。
それに『李白酒造』のお酒は、ホームページから購入することもできるんだけど、この花酵母を使ったお酒は、 限定流通商品でして会員にならないと購入できないの。こりゃあこの機会に買うしかないじゃん!
ってことで購入いたしました「李白 黒米仕込 華露〜CARO〜」(720ml・1571円)!
この「黒米仕込 華露」。その色合いからして、勝手に軽やかで軽快な飲み口を想像していたんですが、フルーティな香りはその色合い通りなんだけど、いざ喉を通せばシッカリとしたド太い力強さがある。にもかかわらず、クイクイッとどんどん進んでしまうクセになる味。
いや、この「黒米仕込 華露」に限らず、『李白酒造』のすべての酒がクセになりそうである。
ワイン、ビール、そして日本酒。島根県の酒の底知れぬ実力。それに感服しつつ、いやぁ〜また行きたい行きたい行きたい行きたいと駄々っ子のように「行きたい」を繰り返したい今の自分である。
もう一回言う。あ〜また行きたい島根県!
取材・撮影/カーツさとう