小説『バスを待つ男』などの著作がある作家の西村健さんは、路線バスをテーマにした作品の書き手としても知られています。西村さんが執筆する「おとなの週末Web」の好評連載「東京路線バスグルメ」の新シリーズ。名店に巡り合った第1弾、そして商店街編、武蔵野編に続く第4弾は「アニメ聖地巡礼編」です。日本アニメ史に名を刻む傑作にゆかりのある街を歩きます。
『君の名は』ではなく『君の名は。』
私の世代ゆえ古い作品が続いたので、たまには新しいアニメにもチャレンジしてみましょう。……とは言えもう、『君の名は。』の公開は7年前になるんですね!? 月日が経つのは早いなぁ。
よく覚えている。『シン・ゴジラ』を観に行ったら、劇場が若い者でごった返していた。さすがゴジラ、未だ若者にもこんなに人気があるんだと思ったら、こっちを観に押し掛けてたんですね(笑)。えっ『君の名は』? そんな古いドラマをアニメ化してヒットしたの!? なぁんて頓珍漢な感懐に囚われたのも、これまた世代ゆえでしょう。
てなわけでメインの舞台となった、新宿区四谷に行ってみます。主人公、瀧(たき)君はここに住んでるという設定ですね。他にも新宿や渋谷など、作中には色んな場所が出て来てとにかく街がリアルに、精緻に描かれてますが、1ヶ所だけ選ぶとなればやはりここを選ぶのがスジでしょう。
聖地「信濃町駅前の歩道橋」へ
新宿駅西口バス停から都バス「品97」系統に乗り込む。この路線、講談社のWebマガジン「tree」の連載「日和バス」や、「もののけバス」でも乗りました。それぞれ、鬼平こと長谷川平蔵の菩提寺を訪ねたり、「お岩さん」を祀る神社に参詣したりした時ですね。
あの時はどちらも、「左門町」バス停で降りたけど、今回は一つ先の「信濃町駅前」バス停まで乗った。新宿から信濃町ならJR中央・総武線に乗ればすぐじゃん、なんて突っ込みは、どうかご容赦を。「大泉」の回でも弁解しましたが、やっぱりこれ何と言っても「路線バスグルメ」ですからねぇ(苦笑)。
さぁ『君の名は。』ファンだったら、信濃町駅前に行ったというだけでもう最初の目的地は予想がつきますね。そう、駅前の歩道橋。
作中、何度か登場しますね。今でも聖地としてファンが訪れるらしく、私が行った時には修学旅行らしい高校生が記念写真を撮ってた。映画に出て来たシーンのまま、キャラクターが映っていた角度になるように。そりゃせっかく東京に来たのなら、撮りたくもなりますよね。気持ちは分かるけど、なかなか退いてくれないので、こちらの写真を撮るまでには結構、待たされてしまった(涙)。
ついでに、信濃町駅前から見たNTTドコモタワーも撮っておきますか。ドコモタワーは背景として何度か出て来たけど、ここから見たシーンがとても印象的でしたね。