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小説『バスを待つ男』などの著作がある作家の西村健さんは、路線バスをテーマにした作品の書き手としても知られています。西村さんが執筆する「おとなの週末Web」の好評連載「東京路線バスグルメ」の新シリーズ。名店に巡り合った第1弾、そして商店街編、武蔵野編に続く第4弾は「アニメ聖地巡礼編」です。日本アニメ史に名を刻む傑作にゆかりのある街を歩きます。

日本アニメーションの本社があるアニメーターにはお馴染みの駅

スタジオジブリの名作『耳をすませば』(1995年)は、東京郊外の架空の町が舞台だが、ファンの間では京王線沿線の聖蹟(せいせき)桜ヶ丘(東京都多摩市)がモデル、と半ば公然と語られている。

一説には日本(にっぽん)アニメーションの本社スタジオが多摩市にあることから、かつて同社にいた宮崎駿氏(本作では製作プロデューサー・脚本・絵コンテを担当)には馴染みがあり、イメージに合ってもいたことからここをモデルにしたのだ、とか。ちなみに監督を務めた近藤喜文氏も日本アニメーションに在籍していた。

ネットを検索してみると、聖蹟桜ヶ丘駅とその周辺の風景が、作品に出て来るこの場面、と指摘しているサイトが複数、見つかる。「散策マップ」もあったので早速ダウンロードし、「聖地巡礼」の参考にさせてもらった。

てなわけで聖蹟桜ヶ丘駅に到着。京王線沿線に住んで間もなく40年になるが、この駅に降り立ったのは多分、初めてじゃないかなぁ? 鉄道好きからすればここは京王電鉄の本社のある町であり、そういう意味でも「聖地」と言えなくもないんですけどね。

聖蹟桜ヶ丘駅

この駅では「間もなく列車が到着します」のサイン音が『耳すま』の主題歌「カントリー・ロード」になっている。おまけに下りの場合は曲の出だし、上りはサビの部分、と使い分けられてる。これ、西武池袋線大泉学園駅(練馬区)の『銀河鉄道999』と全く同じですね。

ネットで調べて知ってはいたけど、やっぱり実際に耳にするとワクワクするなぁ。これまた、大泉学園駅の時と全く同じ。駅に着いただけで気分が昂ってる。ファンサービスを大切にするのは、鉄道会社として素晴らしい心意気ですよ。さすが京王本社の駅!

西口改札は主人公、雫(しずく)が使ってた改札のモデルという。実は同じくジブリ作品『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年)にも出てたんだって。故高畑勲監督も日本アニメーションで仕事してましたからねぇ。つくづくアニメーターにはお馴染みの駅だったんでしょう。

さぁこの駅に着いたらまず行かねばならないところが、ここ。「青春のポスト」。

青春のポスト

作品の中で重要な位置を占めるアンティーク・ショップ『地球屋』をモチーフにしたデザインで、地元商店街やファンの有志によって設置された。「あなたの夢や目標をカードに書き綴って投函してください」とのことで、こんなオッサンじゃなかったらやってたかも、なぁ。主人公、雫と同じ中学生くらいの女の子が投函してたら、ホント絵になることでしょう。オッサンじゃ、アウツ。

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「いろは坂」を上って丘の上へ ファンが訪れる洋菓子店...
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