小説『バスを待つ男』などの著作がある作家の西村健さんは、路線バスをテーマにした作品の書き手としても知られています。西村さんが執筆する「おとなの週末Web」の好評連載「東京路線バスグルメ」の新シリーズ。名店に巡り合った第1弾、そして商店街編、武蔵野編に続く第4弾は「アニメ聖地巡礼編」です。日本アニメ史に名を刻む傑作にゆかりのある街を歩きます。
「上井草」ガンダムはこの場所で生まれた
バスグルメ「アニメの聖地巡り」編もいよいよこれで最終回。最後のテーマは、『機動戦士ガンダム』です。
宇宙がメインのSFなのに聖地なんてあるの、って? あるんですねぇ、それが。
てなわけでやって来ました、西武新宿線の上井草駅(東京都杉並区)。アニメ制作会社「日本サンライズ」はここにあったんです。まぁその後、色々あって現在ではバンダイナムコフィルムワークスのアニメ制作ブランド「サンライズ」になってるけど。最初のガンダムを制作した頃は、ここにあったのは間違いない。
上井草駅でホームに降りると、列車の発車サイン音としてテレビ版『ガンダム』の主題曲が流れる。それも下りはサビの部分、上りは出だし、と使い分けられてる。これ、第1回の西武池袋線・大泉学園駅(練馬区)や第4回の京王線・聖蹟桜ヶ丘駅(多摩市)と同様ですね。鉄道会社、やるなぁ。これだけで「聖地感」、湧き湧きになってくれる。
この駅に降りるの初めてで、来てみて分かったんだけど駅の構造は「相対式ホーム」。上りと下りホームにそれぞれ改札が付いていて、互いに行き来ができない。なので曲がちゃんと使い分けられているか、向かいのホームの方に耳を澄まして確認しましたよ。
次の上り便が来るのを待つ間、ホームをぶらぶらしてたら壁に「アニメのまち上井草」ってポスターが貼ってあるのを発見。待った恩恵でした。