豚汁が主役!豚汁の奥深さを知る東京の食処6選

定食にあって、汁物は脇役にされがち。しかし、豚肉と野菜の旨みが溶け出したお汁で体がほくほく温まり、その滋味深い味わいだけでご飯が進む… 豚汁は特に寒い時期の定食に欠かしたくない主役です。絶品豚汁のお店、集めました! 『八…

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定食にあって、汁物は脇役にされがち。しかし、豚肉と野菜の旨みが溶け出したお汁で体がほくほく温まり、その滋味深い味わいだけでご飯が進む… 豚汁は特に寒い時期の定食に欠かしたくない主役です。絶品豚汁のお店、集めました!

『八百食堂』 @江戸川橋

旨みと栄養が溶け込んだ味にご飯が進む

どこか懐かしい昭和の雰囲気が漂う店内には、豚汁の香りも漂っている。不思議にとろみのある同店の、その名も「とろ~り豚汁」は、濃厚かつさっぱり。このとろみの正体はラーメンのダシを取るように豚肉を煮込んでいることに加え、じゃがいもなど大量の野菜が溶け込んでいるから。そのため肉の旨みもありつつ実はヘルシーなのがポイントだ。

とろ〜り豚汁めし 並 700円

『八百食堂』とろ〜り豚汁めし 並 700円 人気のご飯のお供はチャーシューや角煮!お米は小粒で甘みのある「とねのめぐみ」、味噌は味噌ソムリエが同店のために調合した専用味噌、野菜は国産のものを選ぶなど素材へのこだわりがたっぷり

これをおかずにご飯をかき込むのが実に旨い! とろりとして熱々のお汁、野菜がゴロっと入り、その栄養が身体中に行き渡りなんだか元気が出てくる。さらに明太子など20種類超のご飯のお供が50円と来たものだから、ますますご飯が進んでしかたない。ほっと落ち着く空間で、冬のエネルギーチャージと行こうじゃないか!

『八百食堂』

[住所]東京都新宿区山吹町293 生島ビル1階
[電話]070-4135-4417
[営業時間]11時~15時、17時~22時(日・祝~21時)
[休日]年末年始
[交通]地下鉄東西線神楽坂駅出口2から徒歩6分

『豆福』 @鍛冶町

節系ダシの旨み溢れる透明な豚汁

豚汁には味噌を入れるものだと思っている人に、同店の豚汁を食べて欲しい。和食の料理人として経験豊富な店主が作る豚汁は、ダシ汁で勝負なのだ。すまし汁のような透明なお汁は厚削りのカツオ節のほか、サバ節、イワシ節で取ったダシが使われている。シンプルに味つけられているのにダシの味は力強く、温かいお汁の温度とともに旨みがじんわりと体に染み込んでいく。

豚汁定食 900円

『豆福』豚汁定食 900円 ランチの定食の魚は日替わりで4種類ほどから選べる。豚汁はもちろん、皮はパリッと中はしっとり焼かれた焼き魚を目当てに訪れるファンが多い。夜は日本全国から仕入れる鮮魚を使ったメニューが揃う居酒屋に

なぜダシのみの豚汁を?と店主に聞くと「野菜の味をより感じられる」からとのこと。その言葉通り、ほどよく食感を残すように煮込まれた野菜にダシが染み込み、本来の味を引き立てている。同店自慢の魚料理ともその味わいを邪魔せず相性良し。主役にも脇役にもなれる豚汁とはこのダシ豚汁のことだったのかも?

『豆福』

[住所]東京都千代田区鍛冶町1-5-14
[電話]03-3252-3222
[営業時間]11時半~14時(13時半LO)、17時半~23時半(22時LO)、土・祝17時~23時(22時LO)
[休日]日
[交通]JR中央線ほか神田駅南口から徒歩2分

『壌(じょう) 大手町』 @大手町

バーが作るダシ、豚、大根の旨さが詰まった一杯

中心にはとろっと柔らかく甘辛い角煮。その下は程よい食感を残したふろふき大根が置かれている。この味、食感のコントラストが楽しい豚汁を作るのは、大手町のオフィスビルにある和風スタンディングバーだ。種類豊富なジャパニーズブランドのお酒に、名物店長の接客が相まって夜飲みが魅力的な同店だが、この昼の豚汁にも驚かされる。

大人のとん汁定食 800円

『壌(じょう) 大手町』大人のとん汁定食 800円 豚汁は角煮とふろふき大根のトッピングも特徴的だがとにかく具沢山。日替わりの副菜も手抜きなしの味で、ご飯もバーミキュラの炊飯器でふっくらつややかに炊きあげているので米をかき込む手が止まらない!

野菜を水から弱火でコトコト煮込むことで甘みを引き出したダシに、共に煮込まれた国産銘柄豚の良質な脂がまろやかさをプラス。さっぱりとしているのに優しい甘みがあふれた一杯になっている。包容力抜群の汁、ご飯が進む角煮、昆布ダシをたっぷり含んだ落ち着く味わいのふろふき大根。三位一体となった豚汁が日々の疲れを癒してくれるようだ。

『壌(じょう) 大手町』

[住所]東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング地下1階
[電話]03-6551-2360
[営業時間]11時〜15時(14時半LO)、17時〜23時(22時LO)
[休日]土・日・祝
[交通]地下鉄千代田線ほか大手町駅から直結

『おにぎり・とん汁山太郎』 @雑司ヶ谷

おにぎり&豚汁 こだわり抜いた人生最後の味

「人生の最後に食べるものはおにぎりと豚汁がいい」。それほどまでにおにぎりと豚汁を愛してやまない店主による専門店が雑司が谷に誕生した。大塚の老舗おにぎり店「ぼんご」で修業し受け継いだおにぎりの特徴は、大きく、具沢山で、ほっかほかの握りたて。そこに合わせる豚汁は一見すると母の味のような素朴さだ。

とん汁定食(2個セット) 920円〜

『おにぎり・とん汁山太郎』とん汁定食(2個セット) 920円〜 おにぎりは豚汁とセットで20円割引。シンプルなさけおにぎりも、さっぱりとしたフィレに脂の乗ったハラスを組み合わせるなど工夫が光る。2種盛りで異なる具材同士を組み合わせるのもおすすめだ!

けれどその味の奥行きがすごい。豚肉はにんにくと生姜と炒めて香り付け。ごぼうをごま油で炒めることで香ばしさを引き出し、味噌には麹が効いた柔らかな味わいのものを、ダシにはコク深い厚削りと香り豊かな薄削りを組み合わせてを使う。各素材が絶妙に調和した豚汁と出来立ておにぎりはまさにベストコンビ。ああ、日本人でよかった〜!

『おにぎり・とん汁山太郎』

[住所]東京都豊島区雑司が谷2-10‐7
[電話]03-6823-7549
[営業時間]11時〜15時
[休日]不定休
[交通]地下鉄副都心線雑司ヶ谷駅出口1から徒歩2分

『和チャイナ Roppongi』 @麻布十番

中華によく合う うまさの秘密はカツオ削り粉

中華なのに豚汁!?と思われるかもしれないが、その店の通り、同店は元ホテル料理人の店主が和の調味料を使って作り上げる中華料理が人気のお店。ゆえに魚介ダシの味わいが深い豚汁はカツオの削り粉入りで、具材はダイコンやニンジン、コンニャク、油揚げのほか旬の野菜が入る。そこに隠し味としてラオチュウ、仕上げにごま油をイン。

エビチリ定食 1250円

『和チャイナ Roppongi』エビチリ定食 1250円 エビチリには特大エビがなんと5尾も入っているといううれしい驚き!お得感満載な昼もいいが、カウンター越しに店主と話しながらお客の好みに合わせたおまかせコースが食べられる夜もいい

カツオダシの旨みはありつつもさっぱりしているから中華の味にもよく馴染み、はぁ~この豚汁が中華になんとも合うのだ。「利益よりもお客さんに喜んで欲しいから」と店主が笑顔で話すように、豚汁がつく定食は小鉢にデザートの杏仁豆腐まで添える充実ぶり。お得でおいしい中華料理人の豚汁をご賞味あれ。

『和チャイナ Roppongi』

[住所]東京都港区六本木5-11-32 第三岩崎ビル1階
[電話]03-3408-0122
[営業時間]11時〜14時、17時半〜23時
[休日]日・祝
[交通]地下鉄大江戸線ほか麻布十番駅7番出口から徒歩3分

『生産者組合とんかつ 幻水豚』 @三軒茶屋

心と体が喜ぶ とんかつ屋渾身の豚汁定食

ミネラル豊富な水を飲み、伸び伸びと育った“幻水豚”のトンカツが絶品の同店。実は1番手間をかけているのは10時までの朝食限定で提供している、この豚汁だというから驚きだ。豚汁に使われているのは、幻水豚の赤身、バラ肉を7時間じっくり煮込み旨みを引き出したダシ。ひと口すすれば豚の奥深い甘みにかけられた手間暇に思いを馳せずにはいられない。

朝限定豚汁定食 700円 卵、納豆、梅干し 各100円

『生産者組合とんかつ 幻水豚』朝限定豚汁定食 700円 卵、納豆、梅干し 各100円 豚汁が食べられるのは7時半~10時まで限定の朝定食のみなので、早起きして食べに行こう。付け合わせは100円で那須御用卵、北海道大豆の納豆、梅干し専門店の紀州南高梅から選べる

豚汁だけでなく、お米や付け合わせに選べる卵、納豆、梅干しも厳選した産地のものを用いる。それらのこだわりの根底にあるのは「おいしいものを届けたい」というシンプルな思い。体に優しい素材で丁寧に作られた朝ご飯を食べる。幸せってそういうことなんだよなあ……ということを思い出させてくれる一杯だ。

『生産者組合とんかつ 幻水豚』

[住所]東京都世田谷区三軒茶屋1-40-14 太子堂ハイム102
[電話]非公開
[営業時間]7時半〜10時、11時〜15時、17時〜21時半 土・日・祝7時半〜21時半 ※7時半〜10時は豚汁定食のみ
[休日]年末年始
[交通]東急田園都市線三軒茶屋駅南口A出口から徒歩3分

【この冬は主役級豚汁で癒されたい!】

『おとなの週末』ライター藤沢(以下藤)「北風が胸に染みるこの季節、癒してくれるのは風呂に布団に、やっぱり豚汁!心に染みる一杯を求めて、都内の豚汁を食べ尽くした今企画……。どうでしたか?」

編集武内(以下武)「藤沢さん疲れてるんですか?(笑)まあでも癒しの味わいではあるかもしれないですよね。どこかノスタルジックというか」

藤「家庭料理だからですかね?金沢にはさつま芋が入った『めった汁』っていう豚汁があるし、九州には豚汁に小麦粉のだんごを入れた『だご汁』があったり。地域とか家庭でそれぞれ育ってきた味があるので、郷土心をくすぐるものがあるというか…」

武「でも今回紹介したお店はどこも家庭の味以上。ダシ味だったり、中華風にアレンジしてたりラーメンスープ的な作り方をしていたり……。豚汁ってこんなに奥深かったんだと正直驚き」

藤「そうそう。とんかつ屋さんとかの端切れ肉を使い、牛蒡、ネギ、大根などが少々…。そんな脇役的な豚汁というよりも、どこも具沢山で豚汁とご飯だけで一食が成立する、つまりメインを張れるものばかりでしたね。ちなみに本来は『ぶた汁』と呼んでいたのが、とんかつ人気に乗っかる形で『豚汁』と呼ばれるようになったという説もあるらしいですよ」

武「へ〜〜。今回はとんかつ屋は1軒だけだけど、どこのお店も豚肉はいいものを使っている印象」

藤「そうなんです! 豚から出るダシは優しい味わいの豚汁の要。豚を使う以外にも野菜の味を生かしたり魚のダシを使っているところも多くて。色んなタイプはあるけど豚汁の命はダシなんだなあと感じましたね」

武「あとは七味だよね。具材の旨みが溶け込んでいるからそのままでもおいしいけど七味をひと振りしてピリッとした辛さを加えると、その旨みがさらに引き出される。ひと口飲み、具材を食べて、またひと口飲む。永遠に繰り返せるっす、これは!」

藤「で、たまにご飯を食べて口をリセットして、またひと口ってやるんですよね……。いつのまにか主食が豚汁、脇役がご飯になってるっていう逆転現象が起きてたり(笑)」

武「まさに豚汁が主役になっている!豚汁のポテンシャル、予想以上です!」

撮影/小澤晶子、取材/藤沢緑彩

※2023年2月号発売時点の情報です。

※全国での新型コロナウイルスの感染拡大等により、営業時間やメニュー等に変更が生じる可能性があるため、訪問の際は、事前に各お店に最新情報をご確認くださいますようお願いいたします。また、各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いいたします。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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