ホームの上に電車が乗っていた。
ここは姫路駅である。
姫路駅ホームにある『えきそば』は、電車の形にデザインされた、立ち食いそば屋なのであった。
これはずるい。
お腹が空いてないけど、そそられちゃうではないか。
だから吸い込まれるように入ってしまった。
「天ぷらえきそば」「きつねえきそば」といった定番に混ざって、「カレーえきそば」「とり天えきそば」「ごぼう磯辺揚げえきそば」「チーズえきそば」というオリジナルがある。
これはなかなかいいぞと、ほくそ笑んでいたら、謎に気がついた。
「天ぷら和そば」「きつね和そば」という品書きがあるではないか。
和そばとはなにか。
もともとそばは、和だろうと突っ込みたくなる。そこで店員さんに聞いてみた。
「和そばは普通のそばです。えきそばは、ラーメンの麺です」。
なんと和風出汁ツユに中華麺か。
高知・赤岡で、うどんダシに中華麺を入れた「中日」という麺料理を食べ、意外なおいしさに目を丸くしたことがあるが、そばダシに中華麺というのも良さそうだぞ。
人気は「とり天えきそば」のようで、店内にいる3人の客は、皆それを食べていた。いやとり天は想像がつく。ここはあえて「姫路たこ焼きえきそば」と、変化球でいってみよう。
そばにたこ焼きは、人生60年生きてきて、初の体験である。明石焼きは、ダシにつけて食べるので、そばツユとも相性がいいかもしれない。
しかし中華麺である。
中華麺とたこ焼き、この炭水化物同士の出会いは、想像がつかない。なんだかうれしくなってきた。