「宜賓燃麺(イービンランミェン)」をご存じだろうか。四川省南部の町・宜賓(イービン)で100年ほどの歴史がある名物麺。日本ではまだあまり馴染みのないこの麺だが、飯田橋駅からほど近い『芊品香別館』でいただける。四川定番の「宜賓燃麺」のお味をレポートする。
画像ギャラリー「宜賓燃麺」ってどんなもの?
中国西南部の四川省の最南部に位置する都市・宜賓(イービン)。世界第3位の長さを誇る長江のはじまりの街であり、「万里長江一城」とも呼ばれ、「五粮液」という中国酒の名産地でもある。
その宜賓で、孫文の辛亥革命が起きた清朝末期(1911年頃)あたりに生まれたとされているのが「宜賓燃麺」。麺をたっぷりの油で和えており、火をつければ燃えるといった由来から燃麺という名を冠された麺料理である。
宜賓といえば宜賓燃麺というほど認知されており、1997年には中国政府から中華名物として称号を受けたのだとか。
四川では大メジャーな「宜賓燃麺」だが、東京ではまだほんの数店舗でしかいただくことはできない。そのうちのひとつ『芊品香(せんぴんしゃん)別館』では、コースの一品としても推していて、新名物となっている。
ちなみに宴会コース(4名以上・要予約)は、お料理8品・デザート、飲み放題付き3800円~と、と~ってもリーズナブルでオススメだ。
いざ「宜賓燃麺」を実食
さて、その「宜賓燃麺」だが、わかりやすくいえば、四川風の油そば。さぞかし脂っこいのかと覚悟して食すと、オイリーさはさほど感じられず、むしろ旨みが強い。
味の決め手は「芽菜(ヤーツァイ)」という宜賓名物のほんのり酸味がある漬物だ。これを超粗挽きの三元豚と炒めていて、バランスが絶妙なのだ。タレには自家製ラー油や自家製醤油を使い、甘みもほんのりと感じられる。
揚げたピーナッツやゴマなどがアクセントになって、香り高い風味とさまざまな食感が楽しく、ペロリとたいらげてしまった。
使用している麺は、三河屋製麺のストレート中細特注麺。もちもちとしているので、具材としっかり絡む。メインとしては当然ながら、お酒もついつい進んでしまうおいしさだ。
なお辛さは選択可能で、小辛・中辛・大辛・極辛・地獄まで同一料金。なお、予約制だがプラス150円で「トリニダード・スコーピオン」を使った「ドS辛」なるものもある。その辛さは「地獄」のなんと10倍。辛さに自信アリの猛者はぜひ挑んでみてほしい。
と書きながら、筆者は「宜賓燃麺」の味がわかるように「小辛」でオーダー。よく混ぜていただいた。辛さがキツいようなら、マヨネーズをお願いしよう。マイルドになる上に、コクが増してよりおいしく食べられる。
オリジナルを筆頭にその他のメニューも魅力的!
『芊品香別館』の魅力は、メニューが豊富で思わずあれこれ食べたくなってしまう。
四川料理店なので、「当店名物オリジナル 元祖火焰山香草麻婆豆腐」(880円)や「別館名物 本場四川正統派汁なし担々麺」(880円)なども絶品なので試してほしい。メニュー名にオリジナルと付いているのは、現地・四川で仕入れてきたさまざまな漢方をブレンドしているから。身体にもやさしいのだ。
芊品香の料理の特徴は、四川の「漢源麻花椒」と「満天星辛唐辛子」など複数の香辛料を使うことで、華やかな痺れと辛さが楽しめること。
「元祖火焰山香草麻婆豆腐」を食べる際、試しに辛さを「地獄」でオーダーした。比較的辛いものは大丈夫と自負していたが、数人がかりでなんとか完食できたほど辛かった。もともとのお料理がおいしいから食べられたものの、激辛好きを名乗ってはいかんなと思いながら、辛さを和らげるべく、ついつい白飯をお代わりしてしまった(苦笑)。
ちなみにテーブルには、自家製の「激辛香辣醤」や「麻辣油」のほか、激辛唐辛子なども置いてあるため、好みで味変も可能だ。
辛いものを食べるのって、(個人的にだが)ストレス発散になるし、寒い季節だと代謝が上がる。『芊品香』の料理を食べてより代謝を上げていけたらと思う。
「宜賓燃麺」で、ホットな冬を過ごしてみませんか。
■『純伝統四川家庭料理 芊品香別館』
[住所]東京都千代田区富士見1-7-6
[電話番号]03-6261-7988
[営業時間]11時半〜15時半(15時LO)、17時半〜23時半(22時半LO)、土・日・祝11時半〜21時半LO
[休み]年末年始
[交通]JR総武線ほか飯田橋駅西口から徒歩3分
取材・撮影/市村幸妙
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