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お笑いコンビ「ティモンディ」前田裕太さんの、「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げた連載コラム。30代に突入した前田さんが「大人」を目指して過ごす日々を、食・趣味・仕事など様々な視点で綴ってくださいます。連載は、第1・3木曜日に更新です。「(理想の)大人ってなんだろう?」を一緒に考えながら、前田さんの成長を見守りましょう!
高校の3年間、愛媛で暮らしたことは、前田さんにとって「人生で一番長い旅」だったといいます。そして、大人になって改めて愛媛を訪れたことで、あることに気付いたようです。その土地を好きになったり大切に思ったりすることに、その土地にいかに詳しいか、は関係ないのかもしれませんね。

野球がすべてだった高校生活

人生の中で一番長い旅だったのは、高校の間、愛媛に行っていたことだ。

神奈川県の相模原市で生まれ育った私は、プロ野球選手になるために愛媛県松山市にある野球の強豪校、済美高校に入学することにした。

母親は、そんな遠くへ行く必要ないじゃない、と乗り気ではなかったものの、希望に胸を躍らせていた若人にそんな言葉は響く訳もなく、自分の未来のために愛媛の土地に行くことにしたのだ。

私は、絶対にプロ野球選手になるのだ。

そして、練習のないオフの日なんかはリフレッシュするために地のものを食べ、観光名所に行き、愛媛県を満喫するんだ。

そんなことを考えて胸を躍らせていた。

けれど、実際に済美高校へ入学してみると、それどころではなかった。

まずオフの日は無い。

練習も、特に動かす必要もない鉄の塊を上げたり下げたりして身体を鍛え、これでもかと言うほど走っていると気がついたら1日が終わる。

同じような形をした球を何万回も捕ったり投げたりすると、また次の日。

金属でできた棒を途方もない回数振り回し、気がつくと3年間が経過していた。

振り返ると、愛媛での高校生活は、野球生活だった。

野球部を引退しても、寮の門限は18時。

悲しいことに、特に魅力を堪能することもできずに卒業し愛媛の地を離れることになってしまった。

ちょっとくらい愛媛県に詳しくなれるものだと思っていたけれど、高校とグランドと寮にしかいなかった人間が得られる知識なんてたかが知れている。

せめて月に1日でも休みがあったら良かったのに。

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いつの間にか「第二の故郷」となっていた愛媛の地...
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おとなの週末Web編集部
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