「十団子」と「十四日団子」
【十団子】
江戸時代に東海道の宇津ノ谷(現在の静岡市)の名物として知られていたのが「十団子」(とおだんご)です。十団子は、10個の小さな団子を糸で貫いて、数珠のように一連なりにしたものです。十団子にまつわる話として、食人鬼を退治した地蔵菩薩の伝説があります。
『昔、宇津ノ谷峠には、旅人を襲う食人鬼がいた。村人が地蔵菩薩に祈ると、地蔵菩薩は旅の僧に姿を変え、峠に向かった。現われた鬼に対し、地蔵菩薩が「お前の神通力で、私の手のひらに乗るほど小さくなれるか?」と問いかけると、食人鬼は小さな丸い団子になってみせた。僧が杖で打つと団子は砕けて10個の小さな粒となり、僧はそれをすべて飲み込んだ。それ以来食人鬼は姿を見せなくなった。』
この伝説から、十団子は旅人の安全を守るお守りとして茶屋などで売られ、また、子どもに食べさせると万病が治ると言われたそうです。
【十四日団子】
1月1日を大正月と呼ぶのに対し、1月15日は小正月と呼びます。これは、昔は望(ぼう、満月)の日を月初としていたことの名残りだと考えられています。したがってその前日の1月14日は年越しの日とされ、地域によって年越しを祝う行事が行われました。中でも農業に関連した行事が多く、1月14日に五穀豊穣や健康を祈願してお供えされる団子を十四日団子といいます。
(参考)
[1] 和菓子の日(全国和菓子協会)
https://www.wagashi.or.jp/wagashinohi/
[2] 宇津ノ谷峠と十団子(藤枝市)
https://fujieda.tokaido-guide.jp/column/28