埼玉西武ライオンズの本拠地ベルーナドーム(埼玉県所沢市)は、野球観戦とともに多種多様なグルメを楽しめる「12球団最大級の店舗数」という“グルメスタジアム”としても有名です。カフェから本格的なレストランまで、提供される「食…
画像ギャラリー埼玉西武ライオンズの本拠地ベルーナドーム(埼玉県所沢市)は、野球観戦とともに多種多様なグルメを楽しめる「12球団最大級の店舗数」という“グルメスタジアム”としても有名です。カフェから本格的なレストランまで、提供される「食」の数々は“獅子まんま”の愛称でファンにはおなじみの存在。そんなライオンズグルメに3月24日、新たなメニューが仲間入りしました。IPAというビアスタイル(ビールの種類)の傑作「PUNK IPA」で知られ、世界中で愛される英国発の人気クラフトビール「BREWDOG(ブリュードッグ)」です。野球場への出店は、ベルーナドームが世界初。球場で飲むクラフトビールの味と感動をリポートします。
約70店舗、メニューは1000種類以上! 12球団最大級の“獅子まんま”
約70店舗、メニューは1000種類以上。ベルーナドームは、「食でも楽しんでいただく!」として、球場内のグルメにも力を入れてきた“グルメスタジアム”の側面を持ちます。「カジュアルなファストフードやこだわりの一品、多種多様なビールやカクテル、そしてゆったりとくつろげるカフェから本格的なレストランに至るまで、さまざまなジャンルやシーンでの『グルメ体験』をご用意」(ライオンズグルメHPより)。その内容は、国内プロ野球「12球団最大級の店舗数」という充実ぶりです。そんな数々のライオンズグルメのことを、ファンたちは「獅子まんま」の愛称で呼び、ベルーナドームでの観戦時の大きな楽しみとしてきました。
ベルーナドーム関係者の「食」に対する思い入れは、半端ではありません。ソイミート(大豆肉)などヴィーガン(完全菜食主義者)にも対応した店もあるほど。同時に、球場での観戦には付きもののビールにもこだわってきました。
埼玉西武ライオンズの荒木浩基営業部長は「野球観戦とビールは、切っても切れない関係」と、ビールに力を注ぐ理由を説明します。特に、過去には知る人ぞ知るアメリカのクラフトビールをドラフト(樽生)で提供するなど、「新たな観戦価値を提供する」(荒木部長)として2016年からは海外のビールも積極的に扱ってきました。
そんな経緯を経て、今回初めて登場するのが、世界約60カ国で展開する英国発の人気クラフトビール「BREWDOG(ブリュードッグ)」です。もちろん「樽生」で楽しめます。
球場内の3塁側と1塁側の2店舗で、至高のIPAの「樽生」が楽しめる
ブリュードッグとして世界で初めての球場内に誕生するオフィシャルバーは2店舗。ベルーナドーム3塁側の「エルズクラフト」と1塁側の「クラフトビアーズ オブ トレインパーク」という既存店舗をリニューアルして、『エルズクラフト supported by BREWDOG』および『クラフトビアーズ オブ トレインパーク supported by BREWDOG』として、3月24日にオープンしました。
ブリュードッグは2007年に英スコットランドで、「創業者ジェームズ・ワットとマーティン・ディッキー+愛犬1匹で創業した」(同社HPより)クラフトビールメーカー。多様な種類の大量のホップを投入するなど大手とは一線を画した醸造で個性的な味わいを創出し、熱狂的なファンを増やしてきました。
当初は、ガレージで醸造した少量のビールを手で詰め、バンの荷台で販売するところからスタート。その味はたちまち飲んだ人の心を捉え、2年後には英国で最も成長しているビールブランドとして認められました。現在では欧州をはじめ日本を含む約60カ国に展開、4つの醸造所を持ち、直営のビアバーは世界で110軒以上になるまで成長。「欧州No.1クラフトビールメーカー」(同社資料より)となり、クラフトビールメーカーの中で高い地位を築いています。
IPAの傑作「PUNK IPA」 トロピカルフルーツフレーバーとスパイシーな苦み
ブリュードッグの代表銘柄が「PUNK IPA」(パンク・アイピーエー)。3月24日、報道関係者向けの先行試食試飲体験会で、ブリュードッグ・カンパニー・ジャパンの梅垣幸嗣取締役兼最高執行責任者(COO)は「グレープフルーツ、パイナップル、ライチのトロピカルフルーツとキャラメルの香りが漂い、最後にスパイシーな苦みが残る」と魅力をアピールしてくれました。
IPAとは、インディア・ペール・エールの略。主に柑橘系のフルーティーな香りが特徴で、日本では主流のラガータイプなどよりも多量のホップが投入されていることから、舌の奥に強い特有の苦みが残ります。度数も高め。銘柄ごとの味の違いが分かりやすく、世界で支持を広げています。
ベルーナドーム内の店舗で提供されるブリュードッグの銘柄は「PUNK IPA」に加え、フルーティーな香りと酸味が特徴で女性からの人気が高い「ELVIS JUICE」(エルヴィス・ジュース)、トロピカルフルーツのようなさわやかさでホップの風味がダイレクトに感じられる「HAZY JANE」(ヘイジー・ジェーン)の3つ(ラージ1300円、レギュラー980円)。いずれもIPAです。早速、その“定番”の「PUNK IPA」を、スタジアムの席から試合前のグラウンドを眺めながら、味わいます。
グレープフルーツを想起させるジューシーな味わい。そして、ほどよいコクと爽やかな苦み。本当に美味しいビールです。IPAの傑作といっても決して言い過ぎではありません。
あわせた料理は、焼きたてのピザ「生ハム&マスカルポーネ」(1800円、エルズクラフトで提供)と、「フィッシュ&チップス」(1000円、クラフトビアーズ オブ トレインパークで提供)。どちらもビールには、定番のメニューです。ピザの生地はもちもち、フィッシュの身はふわふわで外の衣はカリっと。ビールのお供には、最適でしょう。
野球とビール、“切っても切れない”ベストな関係
実は、筆者は大のIPA好き。少量生産のマイクロブルワリーをはじめ、国内外の銘柄を10年以上飲み続けてきました。ブリュードッグは上記3つ以外の銘柄も日本で飲めるものはほぼ飲んでいます。自宅の冷蔵庫には、間断なくブリュードッグのいずれかの銘柄が冷やされているほど好きなクラフトビールです。
ですから、上記3種の味については、おなじみです。ただ、球場で今回ブリュードッグのドラフト、つまり「樽生」を世界で初めて楽しめるとあって取材に訪れてみました。
開放的なスタンドで飲む「PUNK IPA」の新鮮な樽生は最高です。24日夜は、西武と横浜のオープン戦。実際に試合が始まってからも飲んでみましたが、至福の時間が流れていきます。野球とビール、たしかに“切っても切れない”ベストな組み合わせです。
文・写真/堀晃和
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