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いまどき、東京で10年続く店だって頭が下がるのに、それどころか歴史を重ね続けること100年以上。長く受け継がれ、愛され続ける老舗には、味そのもの以上に、“語り伝えたい”味があります。寿司、洋食、バー、和菓子に惣菜、定食から駄菓子まで、今に継がれる味、そして新たな時代と共に生きていく味を、たっぷりご披露いたします。連載「100年超えの老舗の味」の今回は、東京・丸の内『東京會舘メインバー』で代々受け継がれてきた、東京會舘を代表するカクテルのマティーニと、マッカーサー元帥も飲んだという會舘風ジンフィズの味をご紹介!

大正11年創業、現在の本館は平成31年に新築

中へ一歩足を踏み入れると、どこか厳かな空気の中に時の重みを感じる。照明にふっと浮き上がるようにある奥行きのあるカウンター。白いバーコートを着てそこに立つのはチーフバーテンダーの間根山寛之さんだ。創業101年を迎える『東京會舘』は、大正11年創業時の初代本舘から、昭和46年竣工の2代目本舘、そして平成31年に新築された現在の本舘に至る。

当初より世界に誇る施設と人々が集う社交場として開業した『東京會舘』にあって、ここメインバーは、オーセンティックな趣を変えず、大人たちの隠れ家であり続けている。「入社31年目になりますが、私よりずっと長いお客様が多くおられます。ですから、スタッフが入れ替わってもお客様に違和感を与えないようにとは意識しますね」(間根山さん)

『東京會舘メインバー』重厚感あるカウンターにモダンなシャンデリア。カウンター席の椅子や体を包み込むボックスシートは旧舘時代からのもので、修理をしながら使い続けられている。伝統の中に洗練がある

家族に連れられて訪れた子供時代から70年近く、初代本舘から知る常連さんもいる。“このお客様はこうだよ”という個々の好みやレシピは先輩から引き継がれている。そうした歴史の中にあって『東京會舘』を代表するカクテルとして、変わらず大切にされ、愛されているものがある。

東京會舘を代表するカクテル・マティーニ

まずは「マティーニ」。基本的なマティーニはベルモットとジンを一緒にしてステアするが會舘スタイルは違う。「ビターとベルモットを入れて氷とミキシンググラスに香りをつけたら液体は捨ててしまいます。その後にジンを入れてステアしてグラスに注ぎ、最後にピールでレモンの香りをつけるんです」。香り豊かながらも、その味わいはまさにエクストラ・ドライだ。

マティーニ 1980円

『東京會舘メインバー』マティーニ 1980円 ドライな中に微かな甘みと苦み、ピールの香りが絶妙なバランス

逆三角錐のグラスの縁いっぱいに液面を湛え、緊張感を持って光輝く姿が美しい。「カクテルグラスですと15分も経てば常温に戻ってしまうので、3〜4口でスッと飲んでいただくのがいいかもしれません」。ひと口目を口から迎えに行ける位置にグラスを置き、腕を伸ばして注ぎ入れる。見事に計算され、洗練されたその所作までがセットだ。メインバーの中でもこのマティーニを任せられているのは2名ほどだけだ。

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おとなの週末Web編集部
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