サイドメニューの扱いではもったいない塩焼き飯のクオリティ
店員さんに食券を手渡して待つこと7、8分。まずは塩ラーメンが運ばれた。具材はチャーシューと白髪ネギ、糸唐辛子のみとこの上なくシンプル。スープの表面に焦がしネギが浮かんでいる。これもアクセントになりそうだ。
まずはスープをひと口。うん、味にカドがなく、やさしくてまろやかな口当たり。しかも、奥行きがある。柚子の皮がこれまた後味をさっぱりさせる。
口の中でじんわりと広がるスープの旨みは、何もチャーハンでなくとも白米に吸収させても十分に旨いのではないか。チャーラーの旅のはずなのに、そんなヨコシマな考えが頭を過ぎった。
そんな中、今度は塩焼き飯が運ばれた。まだ麺は食べていないが、口の中にスープの味の余韻を残したまま、塩焼き飯にレンゲを突っ込み、頬張ってみた。
正直、塩味と塩味ゆえにケンカするかもしれないという不安はあった。ところが、ケンカどころか、がっちりとハグをしている感じ。どちらの味が濃いとか薄いとかそんなレベルの話ではなく、見事に調和しているのだ。
スープの余韻が消えてから、塩焼き飯だけを食べてみると、やはり旨い。塩焼き飯というネーミングから塩っぱさをイメージしてしまうが、それは皆無。塩ラーメンと同様に、やさしくてまろやかな味わい。そして、深みのあるコクが食欲を掻き立てて、塩ラーメンの麺を食べずにはいられなくなる。
金色のスープを纏った、やや太めの麺も食感が良く、なめらかな啜り心地でいくらでも食べられる。トロトロのチャーシューにネギを巻いて食べると、口の中に広がった旨みを塩焼き飯に吸収させたくなった。で、再び塩焼き飯にレンゲを突っ込む。
くぅ〜旨い! 単品で食べても十分に旨いが、やはり、塩ラーメンも一緒に食べてこそ真価を発揮するのである。と、書くと、塩焼き飯は塩ラーメンのサイドメニューと捉えてしまうかもしれない。
きっと、店としてもそのように認識しているだろう。あくまでもここはラーメン店なのだから。しかし、ここまでマッチングが秀逸な、それも塩味のチャーラーは珍しい。塩焼き飯の存在、ひいてはチャーラーのおいしさをガンガンにPRしても良いと思うのだが。
取材・撮影/永谷正樹