朝から夜までサバらしい1日が過ごせる宿
福井へ来たならば、「おはようからおやすみまで」サバ。そうです「サバナイスデイ」な1日を過ごしたいもの。
そんなサバらしい1日を過ごせる宿が『宝永旅館』。福井ならではの食材を使った料理が自慢の宿だ。
なんといってもいま、話題になっているのが福井の幸をふんだんに使い、郷土料理も盛りだくさん、なんと約15品がズラリと並ぶ豪華な朝食。しかも宿泊客以外も楽しめる。なのにコーヒー付きで1000円ポッキリ!
「福井にいらっしゃった観光客の方も、地元の方も集うプラットホームになればと思い、スタートしました」と語るのは、3代目の女将である国広桂子さん。
野菜ソムリエの資格をもつ国広さんが監修し、京都で修業後、皇室も訪れる宿で腕を振るった前川治料理長による朝食は、郷土料理であるにもかかわらず目にも美しい。
大野市のブランド里芋「上庄さといも」の煮物、その茎の部分を酢漬けにした「すこ」、「たくあんの煮たの」、福井が消費量日本一を誇り、そのおいしさは格別という「油揚げ」………。朝から「福井パラダイス」!!!
そして、焼き魚は「サバ」!! それだけではない。しっかりと鎮座するのは福井ならではのサバ珍味「へしこ」(サバのぬか漬け)。へしこ作りが盛んな若狭地方から厳選したものを、炙りで楽しめる。
へしこはそのまま刺身でもおいしいけれど、香ばしく炙るとまたまたウマし。さらに、炙りはお茶漬けにすると最高! うれしいことにご飯はお代わり自由(涙)。
心ゆくまでへしこまつり! そしてへしこをチラッとかじりつつの油揚げ、たくあんの煮たの、といった「福井口内マリアージュ」も楽しいのでお試しを。
そして、「夜もサバ」。福井を代表する郷土料理「浜焼き鯖」が楽しめる。丸ごと1尾を串に刺して焼いた豪快な料理は、お土産として販売されていたりするけれど、できれば現地で味わいたいもの。
もちろんこちらも前川さんの手によるもの。厳選した脂のりバツグンのサバを串に刺して、照りを出し、旨みを増すためにみりんと水を塗って振り塩してから表3分、裏7分で焼き上げる。
約30分じっくり焼き上げたサバは、皮目はパリッ、身はホクホク。脂と旨みが堪能できる。
福井ではしょうが醤油で食べることが多いけれど、添えられた鯖江市河和田地区に伝わる調味料「山うに」と一緒に食べるのもおすすめ。山うには、柚子、赤なんば、鷹の爪、塩で作られたピリ辛の調味料。サバに柚子の香りと辛みが加わるとご飯が猛烈にすすむ!
もちろんお酒のつまみにもよし。サバの全身の各パーツをホグホグしながら、福井の銘酒とともに味わってみていただきたい。
また、宝永旅館の新たな名物も登場した。前川さん渾身の「鯖の宝寿司」だ。
京都での修業時代、親方から教わった味を前川さんなりの工夫を重ねて仕上げたもの。脂のりバツグンのサバに塩をして24時間。塩分を抜いてから、昆布、隠し味の調味料を加えた酢で20~30分しめる。「サバの甘みと旨みを引き出すように工夫しています」と前川さん。
シャリには、サバとのバランスをとるために、ガリをプラス。しかも米粒よりも細かく刻んで加えるという「隠し技」だ。
さらに旨みを増すために、求肥昆布で巻いて仕上げている。
いただくと、なめらかな脂を放つサバ、シャープで軽やかなシャリを、肉厚でもまろやかな求肥昆布が見事にしっかりとした旨みを添えて、とろけるような味わい。サバを奥深く、鮮やかに味わえる鯖寿司だ。
うーん、サバらしい宿!
そうそう、女将の国広さんはアマチュア女流落語家。「上方落語協会 上方笑女隊北陸支部」を運営している「落語の宿」でもある。
底抜けに明るい国広さんのトークも宝永旅館の魅力。ジェンヌの希望により「サバ落語」お披露目の日も近し!
■『宝永旅館』
[住所]福井県福井市宝永3-7-16
[電話番号]0776-22-5204
[交通]福井鉄道福武線仁愛女子高校駅から徒歩7分
[URL]http://www.houei-ryokan.jp/
■池田陽子
全日本さば連合会広報担当 サバジェンヌ/薬膳アテンダント
サバを愛する消費者の集まりである「全日本さば連合会」(全さば連)の広報を担当。日本各地のサバ情報の発信、サバ商品のPR、商品開発等を行う。北京中医薬大学日本校を卒業、国際中医薬膳師資格を持ち、薬膳アテンダントとしても活動。水産庁「海の宝!水産女子の元気プロジェクト」認定メンバー。著書に『サバが好き!~旨すぎる国民的青魚のすべて』(山と渓谷社)、『ゆる薬膳。』(日本文芸社)など。全さば連HP:http://all38.com/
取材・撮影/池田陽子