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知っておきたい酒米の品種のこと

齋藤:生産量で最も多いのが「山田錦」です。「農林水産省『令和4年産米の農産物検査結果』(速報値)」によると、醸造用玄米の総検査数量7万7397トンのうち、「山田錦」は2万7725トンで約35.8%を占めています。「山田錦」は旨みの強い印象があり、「獺祭」(山口県・旭酒造)などで使われています。

なかでも福岡県朝倉市には、北嶋将治さんという山田錦作りのスペシャリストがいて、多くの酒米コンテストで受賞されています。この方が育てた酒米は「北嶋山田錦」と呼ばれています。「北嶋山田錦」を使ったお酒には「庭のうぐいす」(福岡県・山口酒造場)などがあります。

お米がもつ力強い旨みと程よい酸が楽しめる「庭のうぐいす」
お米がもつ力強い旨みと程よい酸が楽しめる「庭のうぐいす」

市村:それは飲んでみたい! その次に多く作られているのが「五百万石」の1万4751トン、「美山錦」が3742トンとなっています。「農産物検査結果」を見ると、120を超える品種が記載されており、産地もさまざまで興味深いです。日本はお米の国なのだなぁと改めて実感します。

地元の米にこだわる酒蔵も多いのでしょうか?

齋藤:例えば「新政」(秋田県・新政酒造)の「生成(エクリュ)」は秋田県独自の酒米である「秋田酒こまち」を、「瑠璃(ラピスラズリ)」は「美山錦」を使い、それぞれの味わいを生かしています。

市村:「新政」のカラーズシリーズは人気ですが、酒米の違いを楽しむのにうってつけですね。その他、気になっている酒米はありますか?

齋藤:流行っているのか、最近は“幻の希少米”とされる「愛山(あいやま)」をよく見かける気がします。「愛山」は僕の中ではコクがあるイメージで、「冩楽」(福島県・宮泉銘醸)、「十四代」(山形県・高木酒造)、「上喜元」(山形県・酒田酒造)などで使われています。

市村:最近は酒米の銘柄を謳う日本酒も多いように感じます。「栄光冨士 純米大吟醸 無濾過生原酒 愛山 LOVE MOUNTAIN」(山形県・冨士酒造)は「らぶまん」の愛称で親しまれていますね。

齋藤:そのお米を50%以上使っていないと品種名を謳えないという決まりがあります。品種が書けるものはしっかりと表記されているので、ラベルを見るのも楽しいです。

僕もこれは聞いただけなのですが、隠し酒というか、裏バーションで品種非公開といったお酒もあります。例えば、その酒米を全量使っているけれど、割れてしまったお米も入れているというケースもあるそうです。テイスティングしてみると、この味わいは間違いなく「山田錦」だろうと思うんです。

また、あえてミックスし、品種を非公開としていることもあると聞きます。そういうものはおいしくてお値打ちなことも魅力です。

酒屋さんと話していて、「この裏は何を使ってるんですかね?」なんて話す楽しみもあります。これは蔵の方に実際に聞いたわけではないので、絶対ではないのですが。

市村:酒米ひとつとっても、いろいろな視点があるんですね。

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市村 幸妙
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