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境目は静岡!? テロワールで感じる、日本酒の奥深さ

齊藤:僕が面白いなと思うのが、日本の中でも東西で味が違うと言われていることです。民性というのでしょうか、それが静岡あたりで変わる印象です。

例えば東北のほうは透き通った味わいのお酒が多いイメージ。寒いので熟成するスピードがゆっくりなため、キレイなお酒になると言われています。

市村:では、西のお酒は?

齊藤:ガッツリ系というか、太いと言われるものが多いですかね。さらに東西では飲み方も違うように感じます

市村:確かに、東北のお酒は冷やしてスッキリと、西のものは主に燗酒にするとおいしい印象があります。特に山陰や山陽のお酒はドッシリと太くて、温めることで本来の持ち味が開くものも多いように感じます。

温度によりさまざまな表情が楽しめる燗酒

齊藤:東西では上記の通り、熟成の仕方なども異なります。ざっくりとですが、だからこそ、もともとの気質が違うのかなという感覚があります。

市村:お水の質も影響があるのでしょうか?

齋藤:日本は基本的に軟水であると言われますが、実際の仕込み水として見てみると、厳密には静岡県は軟水、京都府の伏見や広島県の西条などは中軟水、新潟県は軟水と中軟水の間、東京都の水道水や「灘の宮水」は軽硬水と分類されます。

市村:京都の料亭が東京に出店した時、水の硬度が違うからダシが思うように取れなくて苦労したなんて話を聞いたことがあります。

齋藤:不思議ですよね。日本酒は種類や時期によっても出来上がりが変わりますし、味ももちろん違うので、いろいろな銘柄を味わってみていただきたいですね。

市村:時期でいえば、夏酒は透明感のある涼しげな瓶に入っているものなどがあったり、季節感も含めて楽しめますよね。

齋藤:単純にラベルが素敵なものもたくさんあるので、ジャケ買いみたいに惹かれるデザインのものを選んでみるのも楽しみのひとつだと思います。お酒のことを考えると本当は、瓶の色は遮光されているほうがいいと思いますが。

ラベルに惹かれてどんな味がするんだろうとワクワクしながら仕入れることも多々あります。

市村:出合いの妙がありますね。

というか、「夏酒」って簡単に言ってしまいましたが、それって一体なんなのでしょう。

ということで、次回は日本酒の種類や分類などについてご紹介します。

利酒師の齋藤正浩さん
利酒師の齋藤正浩さん

参考文献:『新訂 日本酒の基』(NPO法人FBO)
農林水産省「令和4年産米の農産物検査結果」(速報値)https://www.maff.go.jp/j/seisan/syoryu/kensa/kome/attach/pdf/index-29.pdf

■『焼き鶏 青天上(あおてんじょう)』

『焼き鶏 青天上』
『焼き鶏 青天上』

「お酒とは飲む人が楽しくなるツールであるべきで、そのバックボーンにあるのが居酒屋だと思っています」と話す齋藤さん。2021年6月に3号店となる西荻窪店をオープン。焼き鳥がメインの1号店は丸ノ内線南阿佐ヶ谷駅徒歩1分、その斜め向かいに2号店の『魚肴 青天上」がある。

[住所]東京都杉並区西荻南3-24-1
[電話番号]03-6913-7719
[営業時間]15時~24時(23時LO)
[休み]無休
https://www.instagram.com/aotenjo/?hl=ja

取材・文/市村幸妙

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市村 幸妙
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