明暗が分かれた2人の結末は…
D君はあまり勉強に必死な姿を見せませんでした。しかし決して無気力という訳ではなく、そのようなポーズをとっているように私には思えました。中学受験の頃、かなり成績がよかっただけに、また勉強が出来るようになりたいという気持ちは人一倍強かったはずです。
しかし、「一生懸命勉強したのに成績が上がらなかった」という結果が出てしまうことを極端に恐れていたのではないでしょうか。試験前にお母さんに、「今回は結果が出なくても仕方ないよね」と伏線を張っていました。それでもほかの生徒と同様、徐々に成績は上がると私は思っていましたが、結局D君は試験の日に学校を休み、試験を受けませんでした。
そして入塾から2か月ほどで塾に来なくなりました。その後D君がどうなったかは分かりません。今だったらもっと違うサポートが出来たのにと、今も残る少し苦い思い出です。
一方のE君は、もともと自分なりの勉強法が確立されていませんでした。そのため、素直に言われた通りの勉強をコツコツ続け、無事内部進学を果たしました。その後も順調に成績は上がり、高校では学年で20番台の成績も取り、見事深海からの浮上を果たしました。最終的には私大医学部に現役で合格してくれました。
圓岡太治(まるおか・たいじ)
三井能力開発研究所代表取締役。鹿児島県生まれ。小学5年の夏休みに塾に入り、周囲に流される形で中学受験。「今が一番脳が発達する時期だから、今のうちに勉強しておけよ!」という先生の言葉に踊らされ、毎晩夜中の2時、3時まで猛勉強。視力が1.5から0.8に急低下するのに反比例して成績は上昇。私立中高一貫校のラ・サール学園に入学、東京大学理科I類に現役合格。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大学在学中にアルバイト先の塾長が、成績不振の生徒たちの成績を驚異的に伸ばし、医学部や東大などの難関校に合格させるのを目の当たりにし、将来教育事業を行うことを志す。大学院修了後、シンクタンク勤務を経て独立。個別指導塾を設立し、小中高生の学習指導を開始。落ちこぼれから難関校受験生まで、指導歴20年以上。「どこよりも結果を出す」をモットーに、成績不振の生徒の成績を短期間で上げることに情熱を燃やし、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて難関大学に現役合格した実話「ビリギャル」並みの成果を連発。小中高生を勉強の苦しみから解放すべく、従来にない切り口での学習法教授に奮闘中。