SNSで最新情報をチェック

神奈川県民のソウルフード・サンマーメン

とっても気になったけど、取り敢えず商店街は端まで行ってみなければならない。アーケード通りに戻って更に先へ進みました。

そしたらアーケードが途切れて、出てすぐのところに、今度はいかにも歴史ある佇まいの町中華を発見! うーん、これまた気になる。店先に貼り出された、「観音らーめん」のメニューにもそそられるけど、ガラスケースの中には「サンマーメン」のサンプルも!? おぉ、サンマーメン。サンマーメン……。神奈川県民のソウルフードと呼ぶべき麺料理。そう言えばもう随分と食べてないなぁ。あぁ、どうしよう??

腹が決まらないまま、とにかくこの街のシンボル、弘明寺にお参りすることにしました。せっかくここに来たんですものね。挨拶を欠かす、なんてことはあり得ない。

商店街を真っ直ぐ来たら、どーんとこのお寺の山門にぶつかる形になって、潜るとその先が登り階段に連なってた。

1300年前に思いをはせ……

上がった先は、これまた堂々たる風格の本堂が、どーん。歴史と威厳を感じさせますねぇ。説明板によるとここは養老5(721)年、インドの善無畏(ぜんむい)三蔵法師が日本に来て建てたのが始まりでその後、天平9(737)年、行基菩薩(ぎょうきぼさつ)が全国巡錫(じゅんしゃく)の際、観音像を彫ってここに安置されたのだ、とか。それは古いわ! 境内には善無畏三蔵法師が、祈りの言葉である荼羅尼(だらに)を書写し、結界を立てた霊石という「七ツ石」もありました。

弘明寺の本堂
弘明寺の七ツ石

ところがそんな由緒ある古刹なのに、手水鉢の両側には象と梟の小さな石像があって、それぞれが水を吐き出してる。可愛い、というか茶目っ気に溢れてて、それがまたこの寺の奥深さすら感じさせてくれます。

弘明寺の手水鉢

とにかくさっきの商店街は、この寺の参道だったわけで、門前町としてずっと賑わって来たんでしょう。長年、住んでいそうな地元民だらけなのも当たり前。それだけの歴史を有する街、ってことです。

商店街はこの寺にぶつかったところで終わりではなく、境内のある高台を右に回り込むようにして更に続いてる。まぁ「弘明寺かんのん通り」とはまた通りの名前は変わってしまうのかも知れませんが。緩やかに上る坂に沿って店が並んでるので、先を進むと京急本線の「弘明寺」駅に出ました。さっき触れた、神奈中バスの「横43」系統に乗ってたらこっちに着いたみたい。

2軒のベトナム料理店

さて、そろそろグルメに移りましょう。

いずれにせよ商店街を戻るにして、老舗町中華でサンマーメン(観音ラーメンも気になる)頂くか。それとも新鋭のベトナム料理店で、現地のサンドイッチと行くか……?

弘明寺かんのん通り商店街を戻ります

散々、悩みましたけど結局、後者に決めた。これだけ歴史ある街で、敢えて最近、入って来た(と、思う)エスニック料理を頂く。伝統を大切にしつつ、新しいものもどんどん取り込んで来た。勝手に想像してみただけだけど、きっとここはそんな街で、そういう場所に相応しい選択ではないか、と思って。

しかも、ベトナム料理と決めても、まだ選択肢がある。2軒、並んでる内のどっちの店に入るか!?
これも結局、同じ原理で選びました。

普通はこういう時、歴史ありそうな方に入るんだけど、今回は真逆に決めました。前からの店があるのになぜ敢えて、同じジャンルで隣に開店したのか? きっとケンカしてるわけじゃないと思うし、古い方の店は「フォー」を前面に出してたのに対して、こっちは「ベトナムサンドイッチ」。メインメニューを区別することによって、共存を図っているのだろう。新旧混交するこの街の象徴として、こちらを選ぶべきだろうと思ったわけです。

次のページ
「香り焼肉バインミー」を齧りながら想像したベトナムの文化...
icon-next-galary
icon-prev 1 2 3icon-next
関連記事
あなたにおすすめ

この記事のライター

西村健
西村健

西村健

最新刊

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。5月15日発売の6月号では、「うまくてエモい!…