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六角橋の交差点、名前の由来に思いをはせて

さっきも言った通り、六角橋商店街は「白楽」駅から歩いて直ぐのアプローチなんだけど、もしバスで来てなかったら、このお店には気づかなかったかも知れない。何たってホントに、停留所の目の前なんですからね。逆にここは、商店街の入り口からはちょっと離れてる。まさに「バスグルメ」ならではの出会いだったわけですね。

とは言え、帰途は東横線に乗った方が便利。

駅の方へ戻ろうとバス通りを渡ったら、パチンコ屋さんの裏手に怪しい路地を発見。この微妙な曲がり具合、どう見たって川の跡じゃないですか!? バス通りの向かいを見ると、いかにもこの流れの続きらしき路地が向こうにも延びてる。

川の跡のような…

「六角橋」の交差点はいくつもの道が交叉している。ここ、六つ角で、そこに流れ込む川に架かってた橋だから「六角橋」って名前になったんじゃないの? 今は川に蓋がされてるからその面影は薄いけど、「暗渠好き」の私からすれば、元は流れがあったことは見え見えだ。

六角橋交差点

やっぱし日本武尊の六角箸なんて眉唾じゃん!?

……いやいや、待て待て。こんなに楽しませてもらった商店街のホームページに、後足で砂を掛けたって仕方がない。

やはり日本武尊は来てたんでしょう、なぁんて無理やり自分に言い聞かせながら、この地を後にしました。

西村健
にしむら・けん。1965年、福岡県福岡市生まれ。6歳から同県大牟田市で育つ。東京大学工学部卒。労働省(現・厚生労働省)に勤務後、フリーライターに。96年に『ビンゴ』で作家デビュー。2021年で作家生活25周年を迎えた。05年『劫火』、10年『残火』で日本冒険小説協会大賞。11年、地元の炭鉱の町・大牟田を舞台にした『地の底のヤマ』で日本冒険小説協会大賞を受賞し、12年には同作で吉川英治文学新人賞。14年には『ヤマの疾風』で大藪春彦賞に輝いた。他の著書に『光陰の刃』『バスを待つ男』『バスへ誘う男』『目撃』、雑誌記者として奔走した自身の経験が生んだ渾身の力作長編『激震』(講談社)など。2023年1月下旬、人気シリーズ最新作『バスに集う人々』(実業之日本社)を刊行。

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