900以上もの多種多様な銘柄、朝夕飯用と使い分けも
農林水産省の統計によると、日本の米の銘柄は年々増え続け、うるち米だけで900以上にも上ります(「令和5年産農産物の産地品種銘柄設定等の状況」より)。すべてが作付されているわけではありませんが、もはや「米」とひとくくりにはできないほど、多種多様な魅力にあふれています。
松丸米店では、店主のおススメや客の好みに合わせて厳選した約40銘柄を常時、揃えています。松丸さんは、各産地から取り寄せた米を食べ比べしたり、生産者らから話を聞いたりして特徴を把握。「今夏は特に暑かったので、稲の管理に苦労した産地も多かったと聞いています」。
コシヒカリにも匹敵するほどの人気商品「つや姫」(山形)は、名前の通り、艶やかでほんのり甘みと旨味があり、粒がそろって覚めても美味しいことから、おにぎりにも最適です。2022年にデビューしたばかりの「サキホコレ」(秋田)は、粘りが強く柔らかい食感が特徴。松丸米店でも予約で完売するほどの人気だったため、2023年は多めに取り寄せて、お客さんのニーズに応えます。
一方、「青天の霹靂(へきれき)」(青森)は、粘りが弱くさっぱりとした味わい。「胃に負担がかからないので、朝ごはん向きですね。銘柄の特徴を知って、朝食用、夕食用と使い分けるのもおススメです」(松丸さん)。
店頭では、日替わりで各地の銘柄米を使ったおにぎりの販売もしており、ふだん、口にする機会のない銘柄米をいただくこともできます。この日は、島根県隠岐の「きぬむすめ」。あっさりしたのど越しの良さで、おにぎりがいくつでも入りそうです。
「同じ銘柄でも、産地によって粒の大きさや味が変わってくるので、少量ずついろいろな種類を食べ比べてみる中で、自分の好みに合ったものを見つけてみては」と、松丸さん。
お好みの米を選んだら、ぜひともそのポテンシャルを最大限に引き出すべく、上記のプロセスを守って、炊いてみてはいかがでしょう。いつも以上に瑞々しいツヤをまとい、噛みしめるほど、お米本来の甘みが広がり、幸福ならぬ“口福”を実感。「お米が美味しいと、食卓が楽しくなりますよね」。松丸さんの言葉に何度もうなずきます。
知れば知るほど、魅了される日本の米。食品の多くが高騰しているなか、比較的安定した価格を維持している米の良さを、いまこそ見直したいものです。幸せな毎日は食卓から―とっておきのごはんライフは、日常にさらなる活力を与えてくれることでしょう。
文・写真/中島幸恵
「松丸米店」
【住所】千葉県柏市花野井415
【電話】04-7131-5732
【営業時間】10時~18時
【休日】水、日祝※臨時休あり
【交通】常磐自動車道柏ICから10分