「阿蘇五岳」と雲海を望む、楽園のような眺めに感動
翌朝は、いつもより早起きして6時から「阿蘇北外輪山」の最高峰に位置する絶景スポット「大観峰」に向かおう。阿蘇地域は、雲海の発生に理想的な霧が溜まりやすい盆地の地形を有することから、日本を代表する雲海スポットとなっている。朝晩の寒暖差が大きい秋から冬にかけては、雲海のベストシーズンだ。
「阿蘇五岳」と「九重連山」、雲海が織りなす壮大な眺めは何とも幻想的である。
この場所から眺める「阿蘇五岳」は、お釈迦様の寝姿に見えることから「涅槃像(ねはんぞう)」とも呼ばれているそうだ。寝ている大仏は、全ての煩悩と苦が無くなった状態で、悟りを開いている高度な状態とも言われているが、そこに雲海がかかった景色は、なんだか楽園のようでもある。
「草原保全活動センター」で阿蘇の草原について学ぶ
その後は「草原保全活動センター」へ。草原について長年研究を重ねる、公益財団法人阿蘇グリーンストック常務理事の増井太樹さんに話を伺った。
増井さんによれば、阿蘇の広大な草原は自然に形成されたものではなく、千年以上前から人が草を刈り、野焼きをし、牛が草を食べることでその形を保ってきたという。だが、年々農家も野焼きを行う人も減り、草原面積も圧倒的に減少してきている。
「このままいけば、草原は雑木林となり、30年で(現在の面積の)40%の0.9万haに減ってしまうと予想されています。そうなると草原にしか生息することのできない昆虫や植物、動物は絶滅してしまう可能性も出てきますよね。この美しい景観も失われます」