逆転合格!中学受験

御三家逆転合格の勝因は「暗記」だった 入試直前の短期間で点数を上げる“暗記法”とは

「重要至急」が受験生のキーワード

暗記の王道は「繰り返す」 まず大事なのは、「覚えよう!」という自発的な強い意識をもって、集中して取り組むことです。ただ漫然と取り組んでいたのでは、それほどの効果は望めません。「やっているのになかなか頭に入らない」という状…

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短期連載「逆転合格!中学受験」の第6回は、入試直前の短期間で点数をアップさせる方法について説明します。それは、ズバリ「暗記」。多くの受験生を個別指導してきた三井能力開発研究所代表取締役・圓岡太治氏が説く有効な「暗記法」とは―――。

受験生のキーワードは「重要至急」

コロナ禍では、必要性が高くない外出や急ぎでない外出は控えることが推奨され、「不要不急」という言葉がトレンド・ワードとなりました。それではその反対の意味の言葉は何だろうか、というのが一時ネット上で話題になり、「必要緊急」「必要至急」などの言葉が挙がりました。

受験生の場合、心掛けるキーワードは、「重要至急」ではないかと思います。

受験校によりますが、入試本番まであと1~2カ月。少しでも合格の可能性を上げるためには、「何をどの順番でやるか」の選択が重要となります。その判断の基準として、大事なのは下記の2点です。

「重要」かどうか(得点アップ効果が大きいか、入試に出やすいか)
「至急」取り組むべきかどうか(短期間で結果が出やすいか)

受験までの限られた時間に少しでも多く点数アップを図るためには、「重要至急」なものから取り組むべきです。この観点から、以下のことを述べてきました。

(1) 志望校の過去問を解いて、試験のレベルや傾向を知り対策を立てる
(2) ミスなどによる得点のとりこぼしをなくす
(3) 基礎力が不足している場合は基礎力強化を図る

短期間で底上げする方法は?

直前期は「暗記分野の強化」

この次の段階として取り組んでいただきたいのが、「暗記分野の強化」です。

過去問演習で大事なのは、入試の出題傾向をつかむことと、自分が「どの科目、どの分野をどの程度得点できているか」を知ることです。その後過去問演習を積み重ねて行きますが、過去問演習で十分な点数が取れず、前回述べた「基礎力強化」や、今回述べる「暗記分野の強化」が必要と考えられる場合は、そちらの方が優先して取り組むべき「重要至急」課題です。

「中学受験は算数がカギ」と言われ、算数が重視されますが、受験直前は暗記科目がカギとなります。暗記分野は、正しく勉強すれば短期間で結果が出やすく、入試でも大きく失敗するということが少ないからです。合否は総合点で決まります。算数で20点アップを狙うより、暗記科目で20点アップを狙う方が、成功する可能性は高いのです。もちろん、どちらに比重を置くかの問題であり、算数をおろそかにして良いということではありません。

麻布中学に逆転合格したA君

御三家をいわれる都内の難関私立「麻布中学」に逆転合格を果たしたA君の場合も、入試直前の約1カ月、暗記分野で入試に出そうな箇所を重点的に覚えたのが勝因でした。また、前日や、当日の試験直前に見直した箇所が出題されたという幸運にも恵まれました。算数とは異なり、このような直前対策が功を奏するのが暗記科目です。ちなみにA君の算数の点数は合格者平均を大きく下回っていたそうです。

勉強に限らず、楽しいことや出来ることから取り組む傾向にあるのが人の心理です。特にあまり勉強好きでない生徒さんの場合、苦手な分野の勉強は後回しになります。受験生はやるべきことは沢山ありますので、放っておくと、苦手分野の対策が不十分なまま受験に突入することになります。私自身、大学受験ではそのような経験をしました。したがって、暗記分野に不安のある生徒さんには、親御さんが誘導して弱点克服に取り組ませることが求められます。

受験でよく使われる暗記法、その年の素因数分解は常識

暗記科目の中で、一般的な頻出分野や、学校により出題率の高い分野については、重点的に勉強しておく必要があります。

今年度に関することがら(今年の重大ニュースなど)についても押さえておく必要があります。算数では、その年の素因数分解を押さえておくのも常識です。

2024=2×2×2×11×23

暗記の仕方については塾などでも時折教わると思いますが、暗記が苦手な方は暗記の仕方に慣れていないことが多いようです。受験で使われる暗記法で、効果的だと思うものから並べてみます。なお、それぞれの方法は、単独ではなく組み合わせて行うこともしばしばあります。

受験でよく使われる暗記法

(1)語呂合わせ
中学受験のとき、歴史の年代が語呂合わせを使うと簡単に覚えられることを友達から教わり、衝撃的でした。語呂合わせの威力は強力で、火成岩の種類や、消化液と消化酵素など、覚えにくいものでも語呂合わせを使うと簡単に覚えられます。今は便利な時代となり、「覚えにくいな~」と思えば、ネットで調べれば、だいたい語呂合わせによる覚え方が載っています。もちろん自作でも構いません。おおいに語呂合わせを活用しましょう。

(2)視覚イメージで覚える
視覚的なイメージに結びつけて覚える方法です。視覚情報は頭に残りやすく、大量の情報を含むことができると言われます。たとえば、「ペリーによる開港」を、「ペリカンが口を開けている(開口)」イメージと結びつけると、簡単に覚えることが出来ます。このように、しばしば語呂合わせ(ペリー → ペリカン)と組み合わせて使われます。また、日米修好通商条約によって開港が決まった5港は、箱館(函館)、新潟、神奈川(横浜)、兵庫(神戸)、長崎ですが、これも日本地図をイメージし、上から順に覚えると覚えやすくなります。

(3)ストーリーで覚える
たとえば、天平文化は遠くペルシャの影響も受けた国際色豊かな文化ですが、菅原道真の進言で遣唐使が廃止されたことにより、日本独自の国風文化が発展を遂げるようになりました。このように、用語の羅列ではなく、ストーリーで頭に入れることで、出来事の順番や、時代や文化の特徴などが容易に覚えられるようになります。なお、ストーリーは、語呂合わせやイメージ記憶と組み合わせて、自分で作った架空のものでも結構です。たとえば円周率を10万ケタ暗誦したと言われる原口證(あきら)氏は、数字の羅列を、松前藩の武士が旅に出るストーリーとして覚えたそうです。

(4)数字と結びつける
前述の開港5港は、「5」という数字と結びつけることで覚えやすくなります。「5」が引き金(トリガー)となって、記憶を引き出しやすくなるからです。江戸時代の重要な将軍も「5人」(初代・家康、3代・家光、5代・綱吉、8代・吉宗、15代・慶喜)とまとめると、すぐに覚えられます。またこの方法は、記憶の抜け落ちを防ぐ効果もあります。たとえば県庁所在地で都道府県名と名前が違うものは19ヶ所ですが、この「19」という数字を頭に入れておくと、抜け落ちなく覚えることが出来ます。

語呂合わせは有効

暗記の王道は「繰り返す」

まず大事なのは、「覚えよう!」という自発的な強い意識をもって、集中して取り組むことです。ただ漫然と取り組んでいたのでは、それほどの効果は望めません。「やっているのになかなか頭に入らない」という状態は、意識が弱いか、集中力を欠いていることが大半です。
また、せっかく覚えても、それを定着させなければ意味がありません。

記憶を定着させる王道は、「繰り返す」ことです。その際に、声に出したり書いたりしながら覚えると効果的です。ある程度期間を置いて、覚えているかどうかをチェックし、忘れていたら覚えなおすことも大事です。

ここまではインプットの話ですが、アウトプットすることで、インプットが確かかどうかをチェックし、さらに記憶を強化することが出来ます。友達と問題を出し合ったり、覚えたことを誰かに話す(教える)のが効果があります。楽しみながら記憶を強化することが出来ます。

暗記に関する誤解を取り払う

「覚えることは少なければ少ないほど覚えやすい」というのはよくある誤解です。学生時代の私がそうでした。しかしそれは正しいとは言えません。覚えることを減らせば減らすほど単独の知識となってしまい、相互の関連が薄くなっていきます。そうすると逆に覚えにくくなるし、いろいろな問題に対応できない、あまり使えない知識となってしまう恐れもあります。

前述の暗記法のいずれにも共通するのは、「関連付け」です。何かと関連付ける方が覚えやすくなり、より強固な記憶となります。何かを覚えたら、それと関連するものを同時に覚えていくことです。関連付けて覚えれば覚えるほど、覚えやすくなります。そうするといつの間にか多くの使える知識が蓄えられていくはずです。

受験の下準備…免疫力を高める食材3選

受験の勝負は、当日だけでなく、すでに始まっています。アスリートと同じように、当日どれだけ結果を出せるかは、勉強面だけでなく、コンディションの調整や事前の準備をどれだけして本番に臨むかによっても違ってきます。そしてそれは受験生本人の力だけではなく、親御さんのサポートも大きく影響します。

前回は感染症予防として、手洗い・うがい・マスクや、体を温めるなどの対策について述べましたが、免疫力を高めるために食事も大事です。個人の体質や体調にもよるので、何を食べたらよいかは一概には言えませんが、世間一般で認知されたもので、私自身が効果的だと実感した食材をいくつか挙げたいと思います。

・生姜(ショウガ)
ジンゲロールという成分に殺菌作用があり、血行を促進して体を温める働きがあります。さまざまな料理に使える便利な食材です。意識してショウガを使う料理を食べるようにすると良いでしょう。

・ニンジン
カロテンに強い抗酸化作用があります。また、粘膜を保全し、病原体が体内に侵入するのを防ぐ効果もあります。ショウガと一緒にスープにするのがおススメです。作り方は簡単。ニンジンとショウガを2mmぐらいの千切りにして、鍋で煮ます。味付けは塩・胡椒やウェイパー、コンソメなど、お好みで調整してください。シメジや溶き玉子などを加える人もいます。

・リンゴ
「リンゴが赤くなると医者が青くなる」という言葉があるように、一日一個のリンゴを食べると、健康でいられると言われます。リンゴポリフェノールには、免疫細胞を活性化させる効果があるそうです。そのまま食べても美味しいですが、酢の物に擦ったリンゴを砂糖代わりに入れてもおいしく食べられます。

体調管理も最重要課題

圓岡太治(まるおか・たいじ)
三井能力開発研究所代表取締役。鹿児島県生まれ。小学5年の夏休みに塾に入り、周囲に流される形で中学受験。「今が一番脳が発達する時期だから、今のうちに勉強しておけよ!」という先生の言葉に踊らされ、毎晩夜中の2時、3時まで猛勉強。視力が1.5から0.8に急低下するのに反比例して成績は上昇。私立中高一貫校のラ・サール学園に入学、東京大学理科I類に現役合格。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大学在学中にアルバイト先の塾長が、成績不振の生徒たちの成績を驚異的に伸ばし、医学部や東大などの難関校に合格させるのを目の当たりにし、将来教育事業を行うことを志す。大学院修了後、シンクタンク勤務を経て独立。個別指導塾を設立し、小中高生の学習指導を開始。落ちこぼれから難関校受験生まで、指導歴20年以上。「どこよりも結果を出す」をモットーに、成績不振の生徒の成績を短期間で上げることに情熱を燃やし、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて難関大学に現役合格した実話「ビリギャル」並みの成果を連発。小中高生を勉強の苦しみから解放すべく、従来にない切り口での学習法教授に奮闘中。

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