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建礼門院ゆかりの寺で『平家物語』の世界を感じる

ぼたん鍋でパワーをつけたら大原の奥深く、『寂光院(じゃっこういん)』へも足を伸ばしてみましょう。

聖徳太子が推古2(594)年に建立したと伝わる由緒ある尼寺であり、壇ノ浦の戦いで生き残った、平清盛の娘・建礼門院(けんれいもんいん)徳子が隠棲した場所としても知られています。

火災で焼失したものを古式通りに忠実に復元、平成17(2005)年に再建した本堂

印象的な石段の参道を上ると山門の正面に本堂が現れます。その右手には回遊式でどこから見ても正面に見えるよう植栽が施された「四方正面の池」があり、背後の山から引いた三段の小さな滝が優しい水音を響かせています。

大原の奥座敷にひっそり佇む『寂光院』の参道。山門に導く長い石段は桜の隠れた名所でもある
本堂の東に位置する池泉庭園「四方正面の池」

本堂の前にある庭は『平家物語』に描かれた往時を偲ばせる風情ある一角。小さな心字池「汀(みぎわ)の池」とそのそばに立つ「汀(みぎわ)の桜」は、後白河法皇が建礼門院を訪ねた際に詠んだ和歌に描かれる景色です。

後白河法皇が池に散る桜の花びらを詠んだという『平家物語』ゆかりの「汀(みぎわ)の桜」

池の奥、鬱蒼とした木立の中が建礼門院の住居跡。「来る人まれなる所」と描写された庵はすでになく今は碑が残るのみですが、当時使われていた井戸はいまも清水が湧き続けています

今は碑が立つのみの「建礼門院徳子 御庵室跡」。平家一門と息子の安徳天皇の菩提を弔いながら終生を過ごした

大原の名産品、柴漬けは建礼門院が「紫葉漬(しばづけ)」と名付けたと伝わり、また、大原女の姿は建礼門院に仕えた阿波内侍(あわのないじ)がモデルとも言われており、その存在は今日にも足跡を遺し、里人に親しまれています。

紅葉の名所は、初冬では散りもみじも見応え十分……雪も舞うかもしれない大原で、静かに心やすめて、新たな年への思いを巡らせる……そんなひとときが待っていますよ。

■野むら山荘
住所/京都府京都市左京区大原野村町236
電話/075-744-3456
営業時間/昼12:00~15:00、夜17:30~21:00
備考/木曜定休、完全予約制、サービス料別途

■寂光院
住所/京都市左京区大原草生町676
電話/075-744-3341
拝観時間/9:00~17:00(冬季は16:30まで)
拝観料/大人・高校生600円、中学生350円、小学生100円
備考/写経受付は9:00~15:00頃まで、1200円

編集/エディトリアルストア
取材・執筆/渡辺美帆、成田孝男
写真/奥田正治

※情報は令和5年12月12日現在のものです

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