逆転合格を目指す勉強法6つのポイント 入試まで残りわずかの日々、まだ志望校の合格ラインに到達していない生徒が逆転合格を果たすには、どのように学習を進めれば良いかについて述べてきました。まとめると以下のようになります。 (…
画像ギャラリー短期連載「逆転合格!中学受験」の第8回は、「年の瀬」にやるべきことをご紹介します。多くの受験生を個別指導してきた三井能力開発研究所代表取締役・圓岡太治氏が提案するのは、「取りこぼし」をなくすための対策。その秘訣は―――。
偏差値が急激アップ、全国模試は100番台に
1990年代中ごろ、私が大学時代のことです。一風変わった、とある個人塾がありました。その塾の塾長M先生は成績を上げる達人で、偏差値30台の浪人生が半年後には偏差値70を超え、全国模試で100番台になるなどの驚異的な成果を上げていました。そして、東大、国立大医学部、開成中学など、受験生本人の希望以上の学校に合格させていたのです。
それだけの結果を出す秘訣はいくつかありますが、その一つは、生徒の力を見抜くM先生の卓越した眼力でした。たとえば数学の問題集からいくつか問題をピックアップし、「この問題とこの問題をやるように」と生徒に指示します。生徒は指示された問題に取り組むのですが、10問中8、9問(まさに十中八九)は解けないのです。M先生が指示する問題を解いていくことで、生徒は出来ない問題を効率的に解けるようになっていきました。勉強のやり方次第でどれだけ結果が違ってくるかを、まざまざと見せつけられる日々でした。
「解けない問題」が「解けるようになる」
解けない問題を解けるようになることが、学力がアップしたということですが、M先生のように、新しい問題集の中からどの問題が解けないかをピンポイントで見抜くことは、通常は簡単なことではありません。しかし、過去に解いたことのある問題でしたら、どの問題がまだ解けないかを選び出すことは、生徒本人でも出来ることです。
子どもがこれまで解いてきた問題のほとんどを解けるようになっているならば、間違いなく偏差値65以上の上位層に入っているはずです。しかしそうでないとすれば、これまで解いてきた問題の中に、まだ解けない問題がかなり残っているはずです。それらを解けるようにすることで、実力は大きくアップします。
とはいえ、残された時間が少ない中、過去の総復習は出来るだけ効率的に、短期間で行わなければなりません。そのためには、模擬試験や塾の定期試験で間違った問題を復習することをおすすめします。試験は、重要性の高い問題がピックアップされたものです。その重要問題の中で、さらに自分が解けなかった問題があぶりだされているのです。これほど貴重な学習素材はないでしょう。
「正答率」を参考に、「捨て問」を選ぶ
模試などの試験の良いところは、何割の生徒が正解したかという「正答率」が出ていることです。それを参考とすれば、効率的に復習することが出来ます。たとえば正答率が数%のような問題は、「捨て問」(捨てるべき問題)として取り組まない、という選択もあり得ます。解けなかった問題の総復習をする中で、基礎分野や苦手分野を補強する必要が出てくれば、適宜取り組むことも大事です。
逆転合格を目指す勉強法6つのポイント
入試まで残りわずかの日々、まだ志望校の合格ラインに到達していない生徒が逆転合格を果たすには、どのように学習を進めれば良いかについて述べてきました。まとめると以下のようになります。
(1) 志望校の過去問を1、2年分解いて、試験のレベルや傾向を知り対策を立てる
(2) ミスなどによる得点のとりこぼしをなくす
(3) 基礎力が不足している場合は基礎力強化を図る
(4) 暗記分野の強化
(5)模試や定期テストで間違った問題の総復習
(6)過去問演習を進める
ここまでの学習が終わると、最終段階として、志望校に合わせた過去問演習などの勉強が中心となります。併願校まで含めると、過去問演習には多大な時間を費やす必要がありますが、まともにやったのでは時間が足りなくなること必至です。過去問演習にどのように取り組めば良いかについて、次回で述べたいと思います。
入試当日を想定した練習、時計はデジタルがおススメ
入試当日に試験会場に持ち込むことが出来る道具は学校によって違いがありますので、今のうちに調べておきましょう。とくに定規やコンパスを持ち込めるかどうかは大事です。
机の上には試験当日と同じ道具だけを出して勉強するように、今から練習しておきましょう。鉛筆の本数も当日と同じにし、勉強の前には鉛筆を削って、芯の先を丸めておきます。消しゴムは机から落とした時のために2、3個用意しておきます。
時計はアナログ時計よりデジタル時計がおすすめです。試験終了の最後の1秒まで粘ることが出来るからです。ただし人によってはアナログ時計の方が大体の残り時間を掴みやすい、という意見もあります。いずれにしても、当日使用する時計を用意して、今からそれを使って練習しておくことです。
道具だけでなく、問題を解く姿勢についても、試験当日を想定して出来るだけ本番と同じ心持ちで勉強に臨むよう心掛けましょう。受験でもイメージ・トレーニングは効果があります。
圓岡太治(まるおか・たいじ)
三井能力開発研究所代表取締役。鹿児島県生まれ。小学5年の夏休みに塾に入り、周囲に流される形で中学受験。「今が一番脳が発達する時期だから、今のうちに勉強しておけよ!」という先生の言葉に踊らされ、毎晩夜中の2時、3時まで猛勉強。視力が1.5から0.8に急低下するのに反比例して成績は上昇。私立中高一貫校のラ・サール学園に入学、東京大学理科I類に現役合格。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大学在学中にアルバイト先の塾長が、成績不振の生徒たちの成績を驚異的に伸ばし、医学部や東大などの難関校に合格させるのを目の当たりにし、将来教育事業を行うことを志す。大学院修了後、シンクタンク勤務を経て独立。個別指導塾を設立し、小中高生の学習指導を開始。落ちこぼれから難関校受験生まで、指導歴20年以上。「どこよりも結果を出す」をモットーに、成績不振の生徒の成績を短期間で上げることに情熱を燃やし、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて難関大学に現役合格した実話「ビリギャル」並みの成果を連発。小中高生を勉強の苦しみから解放すべく、従来にない切り口での学習法教授に奮闘中。