唐揚げ単品注文に、めんつゆ入りの丼が出されるワケ
弥生軒では、唐揚げを単品(170円)で注文するお客も少なくありません。たびたび弥生軒を利用する筆者の家族に言わせると、帰宅途中のサラリーマンが小腹を満たすのに、炭水化物を抜いた唐揚だけがちょうど良いそうです。
ところが、唐揚げだけを注文しても、なぜかつゆが半分ほど入った丼に唐揚を浸して渡されます。
こちらの唐揚げ、見た目のインパクトだけにとどまりません。ズシリと重い唐揚げを箸で持ち上げ、勢いよくかじるとバリバリ音を立てる独特の衣も印象的です。バリバリの衣をめんつゆに浸した途端、ちょい濃い目の出汁を衣が良い具合に吸い込んでふやけ、中からほんのりショウガの香りが漂いいっそう食欲をそそります。まさに、好相性!唐揚だけを注文しても、たっぷりのめんつゆと共に出されるワケに納得です。
衣がキメ手!駅前の工場から出来立てを直送
植崎社長によると、「めんつゆに合う衣を作り、良い具合に揚げる作業こそ、熟練の調理員のなせるワザ」だと言います。
「粉をつけ過ぎないように丁寧にまぶし、鶏肉の中心部まで火が通るよう細心の注意を払って高温で2度揚げしています」
同社では、我孫子駅のロータリー前にある本社の地下に工場を設置。常に店舗と連携を取り合ってタイミングよく、一日に複数回、工場から揚げ立てを直送しています。
こだわりは、唐揚げばかりではありません。麺も粉の配合から行い、めんつゆは、高知・土佐から取り寄せたカツオ節を当日朝に、削り器でふわふわに削ってたっぷり使って出汁をとる徹底した自家製を貫くこだわりよう。材料の配合や味つけは、創業当初から半世紀以上にわたっても変わることはありません。
「いつ来ても安定した出来立ての美味しさを届けることで、お客さんの期待に応えたい」(植崎社長)
狙うは女性客、全店舗リニューアルで“外から見えない駅蕎麦”へ
人気店に行ってみたいけれど、女性ひとりで人の目が気になる駅ホームの立ち食い蕎麦店に入るには、まだまだハードルが高い!?そんな女性心理に配慮して、弥生軒では6年前、我孫子駅の3店舗及び隣の天王台駅店1店舗の全4店舗をリニューアル。「女性がひとりでも、気兼ねなく入れる立ち食いそば」をモットーに店のドアや窓の一部にスモークガラスを施し、外から店内が見えにくい仕様に替えました。また、カウンターの高さも女性目線で微調整、清潔感あふれる店内に、女性客が以前より多く来店するようになりました。