舞い泳ぐ鯉がやがて花へと姿を変える
そしていよいよ一つ目の桜の作品「人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング」へ。床に張られた水の中に足を踏み入れると、色とりどりの鯉が舞い泳ぎ、その周りに花々が漂っている。いずれも、鯉も花ももちろん映像なのだが、本物の水に映し出された映像なので、とてもリアルだ。
鯉は人にぶつかると花となって散る。そのような映像が、リアルタイムで流れていく。鑑賞者の動きに影響を受けて変容するため、二度と同じ景色が見ることができないところが面白い。
輝く光の球体に埋もれ、童心に帰ろう
「変容する空間、広がる立体的存在 – 平面化する3色と曖昧な9色」では、人の衝撃によって色が変化し、音を発する光の球体の集合体に包まれる体験が味わえる。空間は、光る球体で埋め尽くされている。
人がかき分けたり、押したりすると、球体は周囲の球体に呼応して、同じ色・同じ音色を響かせていく。水中や朝焼けなど景色をモチーフにした自然界の段階的に変化した微妙な色合い(曖昧な9色)と、光の3原色(赤・青・緑)の全12色に変化していく様子に圧倒された。
二度と同じ姿を見ることができない、舞い散る桜に見惚れる
そして、今回のメイン作品である「Floating in the Falling Universe of Flowers」が登場。時間と共に姿を変えながら咲き渡るのは、春・夏・秋・冬の花々の映像だ。つぼみをつけ、花を咲かせ、やがて散り、誕生と死滅を繰り返し続ける。
春がやってきたら、刻々と変化しながら咲き誇り、舞い散る桜を満喫しよう。座りながら作品を鑑賞していると、移り変わっていく世界と自身がまるで一体化していくような、不思議な感覚が味わえる。より没入感を味わいたい人は、寝ころびながら鑑賞するのもおすすめだ。