全メニューで冷OK、秋葉原『二葉』 引き戸を開けた瞬間、ぷぅんと鼻先に漂ってきたのはカツオダシの何とも言えない良い香り。 カウンターの中では白衣をパリッと着こなした職人さんが無駄のない動きで客の注文に応じている。諸説ある…
画像ギャラリー今年もかなりの猛暑。まとわりつく湿気と暑さで食欲わかず、されど食べねば体調悪化…という方も多いのではないだろうか?
そんな夏バテを断ち切るのにぴったりなのが「冷たい蕎麦」だ。今回、覆面調査隊が実食したのは、のど越しはもちろん、夏野菜たっぷりのになる蕎麦。つるりと食べて「まんぷく」を味わってほしい。
(お店の情報は<店舗情報:夏にぴったり「うどん」「蕎麦」「冷やし中華」「冷麺」が食べられるお店>をご参照ください)
「白いカレーうどん」が大人気、恵比寿『初代』
この店名にピンときた読者もいるだろう。そう、真っ白なムースが丼を覆った「白いカレーうどん」でバズった店だ。
そればかりに注目が集まってしまうけれど、本来の姿は北海道産の実を丸抜きで仕入れ、店で挽いて手打ちする蕎麦に、気の利いた肴と酒も出す粋な蕎麦酒房なのだ。
さて、こちらのぶっかけ蕎麦は、夏季限定も合わせると計5種類あって、この見た目も雅びで涼やかな「いくら三彩」もそのひとつ。
“三彩”は“山菜”にかけられていて、歯ざわりの良いそれがキュッと盛られ、裾に散らされた長芋とイクラと一緒に手繰ってみれば、それぞれの食感と風味が複雑に絡み合う。
ところどころに星の浮かんだ粗挽き粉入りの二八は香りも甘みもおだやかで、素直に具材を受け止めてくれる。
うっとりする甘みと香り、千川『一久』
どの駅からも歩いて十数分。住宅街のど真ん中に、近隣から長年愛される蕎麦屋がある。
その理由は単純明快、蕎麦の味。信州の畑で自家栽培した蕎麦粉と北海道・幌加内産を季節に合わせて配合を変え、さらに店主が汲みに行く伊豆の湧水で打った蕎麦はうっとりとするほど甘みと香りに満ちていた。
ツユをぶっかけ、豪快に混ぜて食せば、明太子のコクや薬味の食感、川海苔の爽やかな風味が織りなす見事な調和に舌を巻くはず。また、スタミナをつけるなら豚角煮を乗せ、茹でモヤシをアクセントにした「織部そば」に行くって手もあり。この蕎麦たちに出合えるならば、駅からの距離も苦ではない。
正統派のせいろで味わうのも良いけれど、毎年7月から始まる「明太おろしそば」に手を伸ばしてみては?
すすって爽快、落合『山商』
品書きを見れば各種のせいろに伝統的な種物が並ぶ、これぞ江戸前のど真ん中といった印象。しかし6月~9月限定のぶっかけ蕎麦には、楽しい遊び心も忍ばせていた。
現在厨房を切り盛りする2代目の将治さんが考案したのが「冷しベジタブルそば」。切り口も冴え冴えとした二八蕎麦の上にはベビーリーフなどの葉物に加え、小エビ天に絹豆腐といった具材が色鮮やかに散りばめられている。
端正なコシのある蕎麦に野菜の瑞々しさが加わって、すすり心地がなんとも爽快!
トッピングした蕎麦の実アラレが時折歯に当たり、カリッと音が鳴るのも楽しい仕掛けだ。
さらに途中で別添えのドレッシングをかけると、冷やし中華風に様変わり。ひと箸ごとにくるくる表情変えるこのひと皿に翻弄されてみよう。
全メニューで冷OK、秋葉原『二葉』
引き戸を開けた瞬間、ぷぅんと鼻先に漂ってきたのはカツオダシの何とも言えない良い香り。
カウンターの中では白衣をパリッと着こなした職人さんが無駄のない動きで客の注文に応じている。諸説あるものの、ここが東京最古の立ち食い蕎麦屋と言われている店なのだ。
少し珍しいのが、全メニューを冷やにできること。
お願いすると蕎麦を釜に放ち、水道水で洗った後、さらに氷水で締めてからツユを注いでお釣りと共に目の前にトン。その間なんと30秒~1分弱というスピードだ。
関東らしく、かえしを効かせた濃い口の汁にすすり心地の良い長めでモチっとした麺が、冷たさと共に胃に落ちて行く。胡麻油ブレンドで香ばしく揚げた天ぷらやかき揚げなど、好みの具材をトッピングして、さあ召し上がれ!
……つづく<つめたい「夏のうどん」が衝撃すぎる…極太、のど越し、つゆまでゴクゴク飲み干したい《ベスト5店》覆面調査隊が行った>でも、猛暑にぴったりのつめたい麺を紹介します。
『おとなの週末』2023年8月号より(本記事は発売時点の情報です)
『おとなの週末』2024年8月の最新刊は「うなぎ」特集!
画像ギャラリー