参加店で唯一、チャーハンに着目
調子にのってこの日の夜もチャーラー祭りに参戦。向かったのは参加店の中で唯一、名古屋市外にある『中国料理 キョンキョン』。店があるのは愛知県西部の一宮市。最寄り駅の名鉄名古屋本線妙興寺駅から徒歩約30分。JR名古屋駅から車で45分くらいかかるため、交通の便がよいとはいえない。
しかし、郊外にある町中華は喫茶店と同様に、店から半径2キロ、遠くても3キロ圏内のエリアから訪れることがほとんど。ゆえにアクセスの良さはさほど問題ではない。地元で暮らすお客が喜べばそれでよいのだ。
チャーラー祭りは、地元密着型の町中華にわざわざ遠方から足を運び、その店がいかに地元で愛されているのかを知る機会でもある。実に社会派のイベントなのである(笑)。
私がこの店に注目しているのは、名古屋市外にあることだけではない。冷麺やつけ麺、まぜそばなどチャーラーのラーメンにこだわった参加店が多い中で唯一、チャーハンに着目し、こだわり抜いたオリジナルメニューで勝負に挑んでいる点だ。
それがチャーラー祭り提供メニューの「蟹フカヒレ餡かけ炒飯セット」(1375円)である。餡かけ炒飯は、どちらかといえば冬のイメージが強いが、旨ければ関係ない。しかも、蟹フカヒレときたもんだ。こんなの、おいしいに決まっているじゃないか! そんな蟹フカヒレ炒飯にハーフサイズのラーメンとサラダも付く。それで1375円は太っ腹としか言いようがない。
口の中を支配するカニと鶏ガラの旨み
いつもはラーメンから食べる私。しかし、今回は蟹フカヒレ餡かけ炒飯を食べたい衝動が抑えられず、チャーハンからいただくことに。おーっ! 餡も中のチャーハンも熱々だ!
ハフハフしながら味をチェックすると、カニの風味が前面に出て、ご飯に染み込んだ旨みが後味となって広がり、やがて一体化する。うっ、旨い! もう、町中華のレベルを完全に越えているではないか。
餡の中身はカニ肉とえのき茸、卵白、そして繊維状になったフカヒレ。フカヒレそのものに味はなく、ツルンとした食感。それもたしかに感じることができた。
箸休めならぬレンゲ安めにハーフサイズのラーメンをいただく。こちらも町中華らしからぬ上品な味わい。スープのベースとなっている鶏ガラの旨みのみが見事に抽出されていて、滋味すら感じる。
ハーフサイズながらもチャーシューやモヤシ、ワカメ、ネギと具沢山なのもうれしい。麺はやや縮れのある中太麺。これも旨い。
蟹フカヒレ餡かけ炒飯とラーメンを交互に夢中で食べていたら、サラダの存在を完全に忘れていた(笑)。サラダの中身は、ほのかな酸味のあるドレッシングがかかったキャベツとニンジン、レタス、そして小さいながらも存在感のあるポテトサラダ。
サラダを頬張ると、さっきまでカニと鶏ガラの旨みに支配されていた口の中が完全にリセット。再び蟹フカヒレ餡かけ炒飯を食べると、最初のひと口目の感動が蘇ってくる。うん、サラダもイイ仕事しているなぁ。
このセットが目の前に運ばれたとき、正直、ボリュームがやや少ないと思ったが、たっぷりとかかった餡かけのせいなのか、食べ終わるとお腹がいっぱいにになった。この満腹感こそがチャーラーの醍醐味といえよう。
“満腹になる、夏。”をキャッチフレーズに開催されている『チャーラー祭り2024夏 supported by おとなの週末』は、8月31日(土)まで。全国のチャーラーファンのみなさま、ぜひ、愛知県に来てチャーラーを思う存分堪能してください!
取材・撮影/永谷正樹