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若者の梅離れを食い止めろ! 新たな梅製品の開発が進む

梅の名産地である和歌山県だが、約20年前と比べると、家庭での梅干しの消費量が約3割減少している。年配者の売上は安定しているが、特に若年層での梅離れが顕著なのだそう。

梅離れが進んでいる原因は食の多様化のほか、梅の独特の酸味が苦手という若者が少なくないのだとか。

海外の方に見直されている日本食だが、梅干しはどうなのだろうか。和歌山県庁の方に多くの外国人が抱きがちな梅干しへの印象を伺った。

「基本的にはどこに持っていっても、酸味が苦手という方が多いとか。梅干しは海外のセレブが健康を意識して摂取するといった、健康食品的な立ち位置のようです。しかし梅酒の甘くて爽やかで香り高い美味しさは広く受け入れられ人気です」と教えてくれた。

和歌山県のブースでは、東京・有楽町のアンテナショップ「わかやま紀州館」で購入できる商品がずらり。昔ながらの梅干しに加え、個包装になっているギフトにもぴったりなハチミツ梅干しや梅酒などが並んでいた。
20年ほど前に登場した酸味の少ないハチミツ梅干しは今や定番というか、梅干しの中では一番の主力商品だ。

現在は、梅離れを打破すべく、県内メーカーがいろいろな味の梅製品を作っている。デザート梅というジャンルも増えてきており、例えば塩を使わず、砂糖とリンゴ酢で漬け込んだ「デザート夢の梅」(864円)は、まるで梅のグラッセのような贅沢な逸品だ。

リフレッシュしたい時にも適している、ちょっとした差し入れなどにも使いたい梅製品
和歌山県が誇る最低糖度は8度というミニトマト「優糖星」を使ったデザート梅干しなども

豊富なラインナップの梅酒も試飲させていただいた。ブランデーや本格焼酎で漬け込んだものや、中には一般的な氷砂糖の代わりに高級な「和三盆」を使うなど贅沢な梅酒も。風味や甘さもそれぞれで魅力的な個性があるから、あれもこれも試したくなる。

一般的にイメージされるような甘いものばかりではないので、食中酒としても楽しめそう。もちろん、甘口のものは食前・食後酒としても活躍するだろう。何よりも筆者は梅酒の爽やかでやさしい味わいと、甘くて華やかな香りにとても癒された。

梅酒をひと通りいただいた結果、私がいちばん気に入ったのがみなべ町の生産者「マルリョウナガオカ」の「紀州 萌(もえ)」。みなべ町産の「露茜(つゆあかね)」という果肉が紅色の梅をメインに南高梅と氷砂糖で漬け込んだ梅酒だ。色みも美しくて素敵だが、すっきりしつつも梅の甘みと酸み、風味のバランスが絶妙だった。
思わず、他の参加者にも大きな声でオススメしまくってしまった。

惚れ込んだ「紀州 萌」。この日は「わかやま紀州館」に並んでいない46種類の梅酒が試せた

梅酒の特徴である甘さ・香り・酸味を図式化した梅酒マッピング図(和歌山県内の酒造メーカー・梅干しメーカー・梅農家が作る46種類の本格梅酒が対象)=和歌山県HPより(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/071700/d00201192_d/fil/mapping.pdf)

ちなみに以前、「おとなの週末」本誌でお酒の取材をしていた時に気に入ったのが、梅酒をホッピーで割ること。このレベルの梅酒だともったいないが、美味しい梅酒で作ればもちろんその分とても美味しいだろう。買った梅酒が甘すぎる、なんて時にもおすすめだ。気になる方はぜひやってみてほしい。

梅が置かれている課題とは

2024年は気候変動による育成の悪さに加え、3月下旬には雹(ひょう)の被害により、せっかくなっていた梅の実が傷ついてしまった。さらにカメムシが大量発生し、残念ながら商品にならない梅の実がたくさん出て、収穫量が大きく落ちた。

チョーヤと和歌山県による、おいしい博覧会ワークショップ

そもそも、梅農家さんの高齢化が進んでいることも大きな課題であり、和歌山県では、新規就農者や天候による被害、高騰する肥料への補助といった様々な支援・対策に取り組んでいる。

梅酒といえば思い浮かぶ企業がチョーヤ梅酒。メーカー名と主力商品の「紀州」がパッとつながるのって本当にすごいこと。同社は「農家さんに支えていただかないと商品が作れない」とのことで、梅生産者との良い関係性が垣間見える。

チョーヤのブース。紀州南高梅を使った商品などが並ぶ
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梅の魅力を体感できるのはここ!...
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市村 幸妙
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