「チャーハン」×「餃子」の絶品
下北沢「下北グレイヴィ餃子」
品書きを見て頭を抱える。餃子は日替りを含めると7〜8種類。焼餃子に水餃子、パクチー餃子やチリマヨ餃子なんて変化球も。チャーハンはなんと10種類。……選べない!店主の岡さんは大手中華料理グループのエースとして15年働いた後、2016年に独立。
「僕自身が餃子が大好きなので。やるなら餃子が主役の店と決めていました」。まずはコレを、とおすすめされた「肉汁焼餃子」。
もっちり厚めの特注生地で包むのは、鶏豚ガラスープを含ませたジューシーな餡。頬張るとまるで、小籠包のごとく肉汁がジュワッ! チャーハンは悩みぬいた上で「豚ホウレンソウ」を選ぶ。運ばれてきたのは「大盛り注文してないんですが?」といいたくなる量だが、これが普通盛だ。箸で餃子にかぶりつき、もう片方の手のレンゲでチャーハンをハフハフ。二刀流で心ゆくまでがっつきたい。
千駄木「一寸亭」
昭和の頃は、水餃子といえばスープにとぷんと餃子が浮いていた。同店の水餃子はまさに懐かしいそのスタイル。野菜たっぷりのスープに、大ぶりの餃子がドカンと入る。これがしっかりした味付けのチャーハンと鉄板の相性なのだ。まずは、刻んだチャーシューがいいアクセントを放つチャーハンをひと口、そして水餃子のスープを飲み、餃子を齧ってまたチャーハンへ。この無限ループが止まらなくなる。地元で愛される『一寸亭』は創業45年。厨房には初代と2代目が揃って立ち、黙々と鍋を振っている。たいてい満席で、一杯飲む常連客から親子で夕食を食べるほほえましい姿もある。看板メニューはモヤシソバだが、焼き餃子を筆頭に隠れた人気メニューも数多い。「お客さんが喜んでくれるから」とオムライスまであり、そんな多彩なメニュー構成が昭和の親父心をまたときめかせる。
板橋「龍王」
個性的な名店が集まる食の迷宮・板橋。中国北部出身の楊さん家族が営む『龍王』も、豪快なチャーハンをはじめ、庶民派プライスの逸品が目白押しである。溶岩のように真っ赤なキムチを大胆に盛り付けた「キムチチャーハン」は、量も美味しさもインパクト絶大。新作の「ナスバター炒飯」も、意外な相性にハマる人続出中だ。相方の「鉄板焼餃子」は皮の両端を空けて包む、本場伝統のスタイル。カリッと焼かれた薄皮からあふれる、まろやかな餡が舌に優しい。好吃!ビールやサワーもメッチャ安くて言うことなしです。