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3年間ライバル不在

カリーナEDは背の低い4ドアハードトップという新ジャンルを構築。当然他メーカーにも影響を与えることになる。基本的にクルマは、ヒットモデルが出ると他メーカーから似たようなコンセプトのモデルが登場する。

カリーナEDに触発されて登場したモデルには、日産プレセア、マツダペルソナ、三菱エメロードなどがあるが、一番早く登場したペルソナでさえ初代カリーナEDのデビュー後3年経過してから。つまりその間はカリーナEDの独壇場だったのだ。

現代なら早ければ半年後、遅くても1年後くらいにはライバル車が登場するが、当時はまだクルマの開発に時間がかかっていたことも追従が遅れた要因だろう。

初代プレセアは2代目カリーナEDがデビューした後の1990年に登場

20年ほど時代を先取り

自動車評論家からコンセプトについての評価が低かった初代カリーナEDだが、背の低いセダンというコンセプトは初代カリーナEDがデビューしてから20年後に欧州で大流行となった。そのきっかけとなったのは初代メルセデスベンツCLSで、その登場を機に欧州のプレミアムセダンのローフォルム化がトレンドとなった。理由はスタイリッシュだから。そういった意味で、初代カリーナEDは20年程度時代を先取りしていたのかも。

現在ではプリウスが驚異的なローフォルムで大人気となっているが、カッコいいのクルマがどんどん出てほしいと切に願う。

初代カリーナEDのデビュー時の日本のクルマ界、ユーザーともまだまだ成熟していなかったかもしれないが、何かを犠牲にしても特化した魅力を持っていれば、そのクルマは強いということなのだろう。

2005年登場のメルセデスベンツCLSは低いセダンとして大人気

中古車はオススメできない

そんな初代カリーナEDを今手に入れたい!! という人もいるかもしれない。ただ、30年近く経過していること、コレクターズアイテムなどになっていないなど理由に出モノはほとんどない状態だ。ごく少数出回っているモデルの中古相場は100万~150万円程度とそれほど高くないが、ピラーレスハードトップということからボディ剛性面は少々不安だ。それからボディ全体のゆがみなどが気になるところ。ということで正直オススメできるモデルではない。

カリーナEDは3代で消滅

今見てもスタイリッシュな初代カリーナED。そのインパクトは絶大だった

初代カリーナEDは前述のとおり1985~1989年まで生産され大人気となった。その後を受けた2代目(1989~1993年)、3代目(1993~1998年)と3代のモデルが存在する。性能面では大きく進化しながらも2代目、3代目と大を経るごとに初代のようなインパクトもなくなり、需要も縮小していった。

それだけに時代のニーズを的確につかみ、新たなマーケットを開拓した初代カリーナEDの存在の大きさがクローズアップされる。派生車として登場したことからもトヨタ車のなかでは本流ではないが、そのインパクトは絶大だった。

2代目はキープコンセプトで洗練されたデザインで登場したが、初代ほどの販売はマークできなかった

【トヨタカリーナEDG-Limited主要諸元】
全長4475×全幅1690×全高1310mm
ホイールベース:2525mm
車両重量:1160kg
エンジン:1998cc、直列4気筒DOHC
最高出力:160ps/6400rpm
最大トルク:19.0kgm/4800rpm
価格:215万円(4MT)※東京地区

【豆知識】
ペルソナはカリーナEDと同じコンセプトの背の低いマツダのスペシャルティセダン。1988~1992年に販売された。4ドアピラーレスハードトップの流麗なデザインが与えられている。ペルソナの最大のセールスポイントは本革などの素材、デザインにこだわったインテリアで、『インテリアイズム』のキャッチコピーで大々的にアピール。独自の世界観を演出し、日本車で初めて灰皿をオプションにしたことで話題になった。ペルソナの車名はラテン語のPERSONAに由来し、仮面を意味している。

インテリアイズムを掲げインテリアにこだわったマツダペルソナ

市原信幸
1966年、広島県生まれのかに座。この世代の例にもれず小学生の時に池沢早人師(旧ペンネームは池沢さとし)先生の漫画『サーキットの狼』(『週刊少年ジャンプ』に1975~1979年連載)に端を発するスーパーカーブームを経験。ブームが去った後もクルマ濃度は薄まるどころか増すばかり。大学入学時に上京し、新卒で三推社(現講談社ビーシー)に入社。以後、30年近く『ベストカー』の編集に携わる。

写真/TOYOTA、NISSAN、MAZDA、MERCEDES-BENZ、ベストカー

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市原 信幸
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