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浪人生を魅了したデザイン

初代カリーナEDがデビューした時筆者は浪人中。8月と言えば夏期特別講習、全国模擬試験などはあったが、まだまだお気楽モード。そんな時にデビューしたこともあり、すでに免許を取得してクルマを買っていた友人と一緒にディーラー巡りをした。

3兄弟で一番興味があったのは流面形セリカだったが、初代カリーナEDの実車を目にしてあまりのカッコよさに感激。マークIIは窓を開けた時にセンターピラーが残って不格好だったが、初代カリーナEDはピラーレスハードトップだから前後の窓を開けた時にホントにカッコよかった。

当然カタログをもらって、家に帰ってにらめっこ。

とにかく雰囲気が抜群によかった

当時のセダンとしては異例に低い全高

セダンとクーペの違いで最も顕著なのが車高。セダンは車高が高く、逆にクーペは車高が低い。カリーナEDのキャッチコピーは『4ドアでありながら、クーペのフォルム。』というもので、実際に通常のセダンより5cm程度ローフォルムに仕上げられていた。

5cmと聞けば大したことないように感じるかもしれないが、カリーナEDの全高はセダンとして驚異的に低い1310mmで、同時にデビューした4代目セリカの全長が1295mmとわずか15mmしか違わない。この数値を見れば、その斬新さがわかるはず。

当時ではクロスオーバーカーなんて言葉はクルマ界になかったが、今で言えばセダンとクーペのクロスオーバーカーということになるだろう。

背が低いセダンは初代カリーナED以外になかった

クーペフォルムだがクーペより快適

ローフォルムのピラーレスハードトップモデルはたちまち大人気。カリーナEDはセダンだったが、豪華さが受けたハイソカーブームとはちょっと違う、どちらかと言えば2代目プレリュードが先鞭をつけたデートカー的なモデルとして人気だったように記憶している。ただ独身の若者だけでなく、子どもが小さいヤングファミリーからのニーズも高かった。

センターピラーが残ら名から解放感抜群。スッキリしたデザインも魅力

実際に初代カリーナEDに乗ってみると、まさにクーペに乗っている感じ。ドラポジもアイポイントが低くスポーティだし、運転席、助手席の前席スペースはゆったり快適。一方リアシートは足元スペース自体は狭くないが、低い車高によってヘッドクリアランスは小さく圧迫感がある。とは言ってもクーペとはけた違いの快適性。クーペフォルムだが、実用性はクーペを大きく凌駕し、大型セダンよりちょっと劣るくらいということで人気となったのも納得。

最優先はカッコいいこと

初代カリーナEDは1985年から1989年まで販売されたが、その間に26万台強を販売する大ヒットモデルとなった。イケイケの時代背景が後押ししたとはいえ、ブランニューモデルがここまで売れたのが凄い。

その一方で、自動車評論家の評価はあまり芳しくなかった。というよりも酷評する評論家も少なくなかった。評価が低かった最大の要因は、背の低さ。実用性が重要なセダンがそれを犠牲にしてデザインを優先するとはけしからん、というもだった。

リアシートはお世辞にも広くはなかったが、カッコよさですべては相殺できた

自動車評論家の評価とユーザーの人気(販売)が大きく乖離するケースは少なくない。実際に自動車評論家の評価の低いクルマは売れるとまで言われていたほどだったが、初代カリーナはその典型の一台と言えるだろう。

現代ではクルマは快適なのが当たり前となっているが、多少狭くてもカッコいいクルマを買う、というのが1980年代だったのだ。

走りは優雅さこそ重要

初代カリーナEDには、1.6L、1.8L、2Lの3種類の直列4気筒エンジンが搭載されていた。今でこそ買い得グレード云々でクルマを選ぶが、当時は基本最上級グレードが一番売れた。「迷ったら最上級グレード」というのは常識だった。エンジンは排気量が大きいほうが偉いし、同じ排気量ならパワーがあるほうが偉かった時代だ。

ということで初代カリーナEDも最上級の2Lを搭載するG-Limitedが一番人気。

走りは優雅に流す、それができたので不満はなかった

2Lを搭載したG-Limitedは、動力性能やコーナリング性能を追求したモデルではなく、あくまでも優雅に流すのが第一義。エンジンに官能性、気持ちよさはないがストレスもない。みんなカッコよさ、スタイリッシュさに惚れていたのでノープロブレム。

時代を感じるのは、こんなキャラの初代カリーナEDにも全グレードに5MTが設定されていたことだ。売れたほとんどが4ATだったが、MTじゃなきゃ嫌だという世代もしっかりと対応していたのは今考えると凄いこと。

オーディオにこだわり

1980年代のクルマ界では、いろいろなものが大きな進化を遂げた。カーオーディオもいろいろなタイプが登場して、若者はプライベート空間での音質にこだわった。そんな状況を察知してトヨタは、初代カリーナEDにはライブサウンドスピーカーシステムを用意。

ライブサウンドシステムはG-Limitedに標準装備

4つのスピーカーのうちフロントの2つにスピーカーユニットから電磁気回路を取り除いたパッシブラジエター方式を採用することによって、豊かな重低音再生と臨場感ある広がりのある音場作りを可能にした新作で、オーディオ好きにはセリカを含め大きなセールスポイントなっていた。

オーディオとはちょっと違うが、ポータブル無線がディーラーオプションとして用意されていたのも今ではなんだか笑える。そのほか光るエンブレムも時代の先取り感満点だった。

1:ポータブル無線、2:コンライト、3:クッション、4:靴箱などオプションもバラエティに富んでいた
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3年間ライバル不在...
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市原 信幸
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