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ノーマルモデルが大事

初代インプレッサはセダン、スポーツワゴンのラインナップとなっているが、WRC参戦を前提に開発されたターボを搭載するハイパワーモデルのWRXが世界的な大ヒットの要因となっているのは明らか。

しかし、前出の久世氏は、「開発当初はエンジニアには2Lターボ搭載モデルが存在することは秘密にされていた」と語ってくれた。その理由は、ターボの存在がわかると、ベースモデルの開発よりもそちらに開発が集中してしまうことを恐れたためだという。ベースとなるノーマルモデルをしっかり作ってこそ、高性能版がさらによくなるという考えだ。このあたりは、こだわりのスバルらしいところで、初代インプレッサだけでなく、「ベースありき」というのは歴代スバル車に通じるコンセプトだ。

ベーシックモデルの開発に力を入れたからこそ、高性能なWRXも成功した

WRCに参戦するためのクルマ

ということで2Lターボ搭載モデルの存在が開発陣に知らされたのは、ベースとなるシャシー、サスペンションなどの開発に目処が立ってから。

2Lターボの搭載モデルと同時にエンジニアに告げられたのは、初代インプレッサでWRCに参戦するということ。開発陣のモチベーションがさらに上がったのは言うまでもない。

初代インプレッサのターボモデルのグレード名はWRX。WRはワールドラリー(WRC)、Xは未知数=無限の可能性を意味するものとして命名されたのだが、そもそも開発呼称のようなもので、エンジニアの間で呼ばれていた名称だったという。

しかし、レガシィに搭載している2L水平対向4気筒ターボを狭いボンネットにいかに収めるかから始まり、冷却、ターボ化による重量増のなか重量配分の最適化をどうするか、ボディ、サスペンション剛性、さらには短いオーバーハングのなかインタークーラーの装着などなどクリアすべき壁は高かった。

スバルはインプレッサのWRCでの活躍により欧州での人気が高まった。写真はWRカー

ラリーで勝つためにベース車を強化

しかし、エンジニアのモチベーションは高かった!! ただでさえ開発予算が削減されて苦しいのに、すべてをクリアしていった。

WRCに参戦する、というのはエンジニアだけでなくマニアック集団のスバル全体のモチベーションを上げたのは間違いない。

WRCに参戦を前提というのは、すなわちレガシィに代わるWRCマシンのベースとなることを意味していた。

ターボのWRXの開発はいろいろな困難が待ち受けていた

スバルは1988年にスバルのモータースポーツ、市販車のパーツの開発販売を手掛けるスバルテクニカインターナショナル(STI)を設立。さらにイギリスのプロドライブと1989年にスバル・ワールド・ラリー・チーム(SWRT)を結成し、初代レガシィセダンでWRCにワークス参戦を開始。次期マシンのベースとなるWRXの開発においては、STI、プロドライブと車両開発段階から綿密な打ち合わせをし、プロドライブの意見も聞き入れ市販車に反映させていた。

それは当時のWRCのトップカテゴリーが、市販車から改造範囲の狭いグループA規定で争われていたからで、市販車の優劣がそのままラリーカーに反映された。ラリーの実戦を考慮した冷却系の強化、市販モデルながら、エンジンにウォーターインジェクションが装着されているのはその典型例だ。日本車でここまで開発段階からこだわったクルマは初めてだったのではないだろうか。

さらにWRCのスバルのワークスドライバーのコリン・マクレーが開発に携わったと言われている。

リアビューはベースモデルでさえ塊感があって精悍な感じ
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インプレッサでスバルへの期待感が高まる...
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市原 信幸
市原 信幸

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