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背が高いのでロールは大きめ

2代目プレーリーは、当時の日産の主力小型セダンのブルーバード(8代目・U12型)がベースとなっていた。プレーリーはブルーバードに比べて背の高いが、コーナリング時に車体が必要以上に不安定になるとか、最悪破綻するといったことはなかった。ただ、サスペンションが柔らかいので、初めてワインディングを走った時はロールが大きいため、けっこうビビった。

ブルーバードで初登場した日産の4WDシステムのATTESA(アテーサ)がプレーリーにも設定され、降雪地域でのニーズにも応えた。ATTESAという字面、アテーサという響きとも今でもカッコいいと思う。日産って昔からネーミングセンスが抜群だと感心させられる。

初代とは比べようもないくらい広くなった3列目シートの足元スペース

エンジンは初代が1.5L、1.8L、2Lだったのに対し、2代目は2Lと2.4Lを搭載。特に2.4Lはトルクが太いので、多人数乗車時、積載物が多い時でもストレスなく走ることができた。逆に言えば、2Lでは少々非力と感じることもあった。当時は2Lと2.4Lでは、5ナンバーと3ナンバーの大きな壁があったため、人気は2Lモデルだった。ベストカーの社用車も2Lの7人乗りだった。

この社用車プレーリーだが、一般家庭のように多人数乗車目的で使われることは少なく、撮影機材、ゼロヨンテストなどの光電管、バッテリー、計測機器などを運搬するのに重宝していた。ただし、肝心のラゲッジスペースが、リアのストラットサスの取り付け部分が出っ張っていて、横方向の自由度が制限され、もったいないなぁと思った。あと、フル積載時には「遅い!!」だった。

初代では3列シートの3列目は極狭(ごくせま)と酷評されていたが、全長を30cm程度延長したことで広くなっていたことをフォローしておく。

2列目はアレンジ可能だった

プレーリージョイに車名変更

徹底的なネガ潰しによって魅力一新した2代目プレーリーだが、強敵が出現。そう、乗用タイプミニバンブームのきっかけとなり、王者に君臨していた初代ホンダオデッセイだ。オデッセイはプレーリーとは違いリアはスライドドアではなくヒンジドアを採用。あくまでも乗用車感覚、セダン感覚で運転できる多人数乗車モデルということで大ヒット。

乗用タイプミニバンのキング、初代ホンダオデッセイは1994年デビュー

個人的にはお世辞にもデザインがいいとは思わないが、ホンダの作った多人数乗車モデルという付加価値もヒットの要因になっているはずだと考える。

オデッセイが登場したのは1994年。2代目プレーリーは88年デビューだから、当時の日本車はほぼ4~6年サイクルでフルモデルチェンジしていたことを考えるとモデル末期。日産はフルモデルチェンジではなくビッグマイチェンで対抗。車名もプレーリーから『プレーリージョイ』と変更してリフレッシュを図ったが、デザインも急造感丸出しでアンバランス、乗り味、室内はライバルに比べて古さを隠せず、乗用タイプミニバンブームの波に乗ることはできなかった。

マイチェンでプレーリージョイとなってリフレッシュしたが奏功せず

極寒の地でEVが大活躍!!

プレーリージョイになっても販売は上向かなかったのだが、結果論として日産にとっては非常に重要な意味を持つモデルになった。日産は当時EVの開発を行うに際し、そのベースモデルをプレーリージョイに決定。バッテリーを搭載するにはスペースが必要なため、日産にとっては打って付けだった。

1990年にソニーが世界で初めてリチウムイオンバッテリーを実用化することに成功。それに対し日産は、「ソニーの公式発表の翌日から自動車への適用を検討」と積極的で、1992年にソニーと提携し、開発を始めたのがプレーリージョイEVだ。そして、1996年に法人向けに30台がリースされた(一般販売はされず)。リースゆえ不具合があれば回収することも可能なので、実験的なクルマではよくある手法だ。

極寒の地のノルウェーで大活躍したプレーリージョイEV

このプレーリージョイEVは、「国際北極観測隊が、ノルウェーの基地で使える電気自動車を探している」と聞きつけた日産は、極寒テストとして最適と判断してプレーリージョイEVを貸与。6年間にわたり、極寒の地で活躍したという。

日産の電気自動車は、その後ルネッサベース、ハイパーミニ、キューブベースなどいろいろ開発を進め、リーフ登場に至るわけだが、リチウムイオンバッテリーを搭載したプレーリージョイEVでのブレークスルーが大きな意味を持っているのは明らかだ。

プレーリージョイEVはソニー製のリチウムイオンバッテリーをいち早く搭載
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初代&2代目の存在意義は大きい...
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市原 信幸
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