コスモは特別なクルマ
それではユーノスコスモに話を戻す。
広島県出身の筆者にとって、子どもの頃からコスモは特別なクルマだった。コスモスポーツに関しては、高校時代に街中で2~3回見た程度。『帰ってきたウルトラマン』のマットビハイクルのベースとなったということは知っていたが、特に思い入れもない。
個人的にコスモが刺さったのは、1975年にデビューした2代目のコスモAP。ホントにカッコよかった。当時筆者は小学生だったが、スタイリッシュな2ドアロータリークーペは街中に溢れかえっていた。近所のお兄さん、学校の先生も赤いコスモAPに乗っていた。同じコスモでもLはレザートップ装着で超シブかったけどあまり見かけなかった。
そのAPの栄光が嘘のように3代目で凋落。初期のリトラクタブルヘッドライト仕様は百歩譲って許そう。しかし、固定ヘッドライトにビッグマイチェンしたコスモは、かつてのスペシャルティ感は皆無で、手先の豪華さが与えられただけで幻滅。正直この時点で「コスモは終わった」も同然だった。
色気があってエレガントな佇まい
マツダ好きが終わったと感じるくらいだから、よっぽどのクルマ好きじゃない限り、コスモの存在なんてほぼノーマーク。「コスモなんてクルマもあったね」程度だったはずだ。
それが、新型が出てビックリ仰天!! ユーノスブランドのクルマとして生まれ変わったユーノスコスモの衝撃たるや物凄いものがあった。
とにかく美しかった。カッコいいのではなく美しいのだ。ロングノーズはどことなくクラシカルな雰囲気を漂わせているが、回顧主義ではなく新しい。当時もカッコいいクルマはいっぱいあったし、エレガントな佇まいのクルマもあった。しかし、ユーノスコスモのエクステリアデザインは艶っぽくて、色香を感じさせるエロさがあるのに、エレガントで気品さえ感じさせた。1990年にそんなクーペが生まれたことが凄いことだと思う。
ユーノスコスモのデザインを見ると、フロントマスク、リアコンビは特に斬新なデザインというわけでもない。どちらかといえばオーソドックスの部類なのかもしれないが、プロポーションが美しく、全身からオーラを発している。