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3ローターの何がそんなに凄いのか?

3ローターといってもローターの数が2個から3個に増えただけで、何がそんなに凄いのか? と感じる人も多いだろう。実は筆者も当時3ローターの凄さはわかっていなかった。しかし、ロータリーエンジンはレシプロエンジンと違い、直4エンジンにシリンダーを2つ増やせば直6になるのとは違う。

最大のネックとなっていたのが、ロータリーエンジンの出力軸で、レシプロエンジンのクランクシャフトに匹敵するエキセントリックシャフトの強度。エキセントリックシャフトは、偏心しているため1本物の鋼材を削り出して作ることができず、寄木細工のように製作していたという。2ローターに比べてエキセントリックシャフトが長くなるため、その強度の確保は困難を極めた。それをユーノスコスモで実現したのだ。ロータリーの歴史はマツダの歴史なのだが、3ローターエンジンはユーノスコスモが世界初にして最後。動力源としてのロータリーエンジンではこの先も出てこないだろう。

一番手前がエキセントリックシャフトでその強度を確保するのが非常に難しかった

20Bは珠玉のフィーリング

筆者はユーノスコスモがデビューして約1カ月後に、その後長きにわたり編集に携わることになる自動車雑誌の『ベストカー』でアルバイトを始めた。話題のクルマだったため、誌面にたびたび登場した関係でユーノスコスモを運転する機会に恵まれた。

実際に美しいエクステリアに心を奪われ、後述する超絶豪華なインテリアに感服し、強烈な加速感に打ちのめされた。

41.0kgmの分厚いトルクによる加速は気持ちよかった!!

ユーノスコスモの13Bエンジンは、V12エンジンに匹敵する低振動でスムーズさをセールスポイントとしていた。筆者はV12を経験することなくユーノスコスモの3ローターをドライブしたが、極端なことを言えば日本車で最も当時スムーズと言われていたセルシオのV8よりもさらに滑らかったのを今でも思い出す。ロータリーの回転フィールは、モーターのそれに例えられるが、アクセルを踏むとストレスなく一瞬のうちにレッドゾーンまで回るのはロータリーならではの気持ちよさだ。この珠玉のユニットを体験できたことはとてもラッキーなことだと思う。

その一方で、最大のネックとなったのは燃費。当時は大げさにユーノスコスモの燃費は「1km/Lを切ることもある」と揶揄されることもあるが、名誉のために行っておくとそこまで酷くはなかった。と言っても、普通に街中を走って5km/L前後でガンガンと走れば3km/L前後となるため、燃費が劣悪だったのは噓ではない。

赤のボディカラーはスポーティで人気だった

包み込まれるような豪華なインテリア

マツダは1988年に初代カリーナEDの対抗馬としてペルソナを登場させた。マツダはそのペルソナで『インテリアイズム』を掲げ、超絶にこだわったインテリアを実現。その『インテリアイズム』の集大成がユーノスコスモだ。

34年前にデビューしたクルマのインパネとは思えない先進性がある

デザイン、贅沢な本杢を使うなど素材にこだわった贅沢な空間を好演出。内装色はシックなブラックもあったが、イチオシは当時の日本車にはほとんどなかったタン革の内装。タン革の内装と言えばフェラーリの専売特許のようになっていたが、そのお株を奪うほどの出来栄え。リアは完全セパレートの2人掛け仕様でエクステリアに負けず劣らず、妖艶な雰囲気を漂わせていた。

4座が包み込まれるようにデザインされたインテリア。当時の日本車では珍しいタン革が素敵
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世界初のGPSカーナビも圧巻...
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市原 信幸
市原 信幸

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