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鬼才の小泉氏がデザイン

ボディサイズは全長4815×全幅1795×全高1305mm。伸びやかで当時の日本車としては全幅はかなりワイド。それに対し全高は1305mmのローフォルムを実現。これが黄金比かと思わせるほど完璧なプロポーション。

デザインは好みがわかれるが、当時ユーノスコスモを見てカッコ悪いと思った人はいないんじゃないだろうか。個人的にはこれまでの日本車の歴史において、ユーノスコスモのエロさを超えるのは、レクサスLC以外にないと思っている。LCの日本発売開始が2017年だから、筆者のなかでは30年近く日本車のデザインの頂点に君臨したとことになる。

ユーノスコスモの妖艶さに勝てるのはレクサスLCしかない!!

ユーノスコスモをデザインしたのはマツダのデザイン部の小泉巌(こいずみ・いわお)氏。今も昔もマツダには個性的なデザイナーが多数いるが、これまた個人的な見解で恐縮だが、マツダのデザイナーで小泉氏と2代目のFC3S、3代目のFD3Sと2代にわたりRX-7をデザインした佐藤洋一氏が両巨頭だと思っている。

ちなみに小泉氏は、初代フェスティバ、ファミリアアスティナ、ユーノス500、ユーノス800、初代CX-5などなど、数々のマツダの名車のデザインを手掛けた。2020年にマツダを退社し、その後独立されたようだ。

ファミリアアスティナはユーノス100として販売された

市販車として世界初の3ローターエンジン

ユーノスコスモの衝撃はデザインだけではない。そのパワーユニットこそ、このクルマの真骨頂なのだ。コスモと言えば初代、2代目、3代目ともロータリーエンジンを搭載。初代のコスモスポーツはロータリーを搭載した世界初の量産車だし、2代目のコスモAPはその名のとおり51年排ガス規制に適合させた、APはアンチポリューションの略で、低公害、低燃費を意味していた。3代目はルーチェと並び世界初のロータリーターボを搭載。地味ながらやることはやっていたのだ。

それに対し、ユーノスコスモはRX-7(FC3S)と同じ2ローターターボ(13B)と、世界初の3ローター(20B)を搭載。1ローターあたりの最大排気量×ローター数が排気量となるため、13Bが654cc×2(1308cc)、20Bが654cc×3(1962cc)。そう、エンジン型式の前の数字は排気量を示している。

世界初にして最後の3ローターエンジン(20B)

300psオーバーで登場していれば運命は変わったかも

注目の3ローターの20Bは、量産車としては世界初となる(マツダ談)シーケンシャルターボで、280ps/41.0kgmをマーク。シーケンシャルターボとは、大小2つのターボを装着するツインターボで、低回転域を小さなターボが担当し、高回転域になると大きなターボに切り替わる。これにより低回転域でのレスポンスがよくなる。

見た目のエレガントさとは対照的な豪快な加速も大きな魅力

1989年にフェアレディZ(Z32型)が280psで登場。これにより『メーカー自主規制』という名のお上(当時の運輸省で現国交省)の強制により日本車のパワーの上限は280psとなってしまった。実際に20Bは300psオーバーも充分に可能だったが、泣く泣く280psに足並みを揃えたとう経緯がある。

この時に300psオーバーで登場していれば、さらなるインパクトになっていたのは間違いない。一方最大トルクには規制がなかったため、41.0kgmをマーク。これは当時、4L、V8のセルシオの36.0kgm、4.5L、V8のインフィニティQ45の40.8kgmを凌駕する日本車最高スペックとしたのはマツダの意地なのだろう。

これがローターでハウジング内で回転運動する
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3ローターの何がそんなに凄いのか?...
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市原 信幸
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