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最近、「天然温泉」付きの老人ホームは珍しくはない。街中の老人ホームでは「循環ろ過式」がほとんどではなかろうか。首都圏の日帰り入浴施設などでは「かけ流し」をうたっていてもほとんどがタンクの段階で塩素が投入されている。高齢者向けの施設だったら「かけ流し」だとしても衛生管理上、塩素系薬剤を投入しているケースが多いだろう。「完全放流式(かけ流し)」の風呂なのは湯量が豊富な温泉地くらいか。今回、温泉地ではない場所に、希少な「No塩素、かけ流し」浴場をもつ老人ホームを発見した。

(*循環ろ過とは……湯船の湯を循環ろ過器を通してゴミや汚れを取り除き、再び湯船に戻す給湯システム。完全放流とは……新しい湯を常に注ぎ、循環させて再び湯船に戻すなどの再利用はしないシステム)

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横浜の知人が福岡の高級老人ホーム「サンカルナ久留米」に引っ越した

老人ホームの温泉に入ることは滅多にないが、1年前に知人(83歳)が神奈川県横浜市の駅直結型マンションから、福岡県久留米市の老人ホームに引っ越した。「うちの老人ホームには、温泉があるんだよ。とってもいい温泉だから見に来たら?」とお誘いを受けたので、ゲスト宿泊を試みた。

場所は、JR久留米駅から車で10分の好立地。最寄りの西鉄天神大牟田線「聖マリア病院前」駅から徒歩2分、住宅街のなかに14階建てのビルがニョキッと建つ。駅近ではあるが、周辺に高い建物はなく、田んぼや畑も残るのどかな場所だ。

大型マンションのような外観。エントランスの車寄せも広々

「老人ホーム」にはこれまで縁がなく、「寝たきりになったらお世話になるところ」「子が親の面倒を見られずにお願いする場所」というなんとなくのイメージしかなかったが、高齢者向けの住まいにはいろいろあって、介護が必要な人向けのホームもあれば、自立している高齢者のための住居もある。

「西鉄」グループが運営

天然温泉付有料老人ホーム「サンカルナ久留米」はシニア向け高級マンションといった趣で、まずはその広さに驚いた。大型の高級ホテルのような佇まいである。運営は九州の大手私鉄「西鉄」グループ。鉄道やバス以外にマンションやホテルなども運営する。

エントランスホール& エントランスラウンジ

ちょうど『ルポ 超高級老人ホーム』(ダイヤモンド社)という書籍を読んで、「高級ホテルみたいに豪華な老人ホーム」があることを知ったのだが、本で取り上げられていた首都圏をはじめとした施設は、一時入居金が億超えか、億に近い数千万円台。庶民の暮らしとはかけ離れすぎていて、まったく現実味がない。「サンカルナ久留米」の場合は、年齢によっては一時入居金が1千万円台半ばからという。持ち家を売って、少し多めの年金をもらっている人なら入れる金額だろうか、と多少は現実感が増す。もっとも私も含め資産のない人にはやっぱり雲の上なのではあるが……。

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源泉温度は約48度、石造りの湯船に「かけ流し」...
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野添 ちかこ
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