グランドセントラル駅地下の巨大なオイスターバー
「どこか行きたいところはありませんか」
授賞式のあと、国連職員の方に問われたので、わたしは間髪を入れず、
「グランドセントラル駅地下のオイスターバーに行きたいですね」
と答えました。
カキ博士、今井丈夫先生からいつも話をきかされていて、いつか行ってみたいと、ずっと思っていたのです。グランドセントラル駅地下のオイスターバーは、500人は入るのではないかと思うような、巨大なオイスターバーです。
いろいろな名前のカキが、氷の上にズラリとならんでいました。ですが、いくらさがしても、世界一のカキの産地であったニューヨーク湾のカキは、一個もありません。
国連職員の方に問うと、
「あぶなくて、食べられませんよ」
と、笑っています。大西洋カキ(ヴァージニカ)は、ボストンやニューオーリンズなど遠隔地産のものばかりです。
「『牡蠣と紐育』の話は今でも引きずっているのだなあ」
と実感しました。
シアトル産などの西海岸のカキは、まちがいなく宮城種のカキです。