ディーラーに出向かなければならない理由とは?
その理由は、クルマの運行では、カーリースも含めてユーザーと販売店の密接な連携が重要になるからだ。クルマは家電製品と違って、定期的に車検や点検を受けねばならない。リコールが発生して、ユーザーが自分で車両を販売店へ持ち込むことも考えられる。
クルマは屋外で使われる移動手段だから、交通事故を発生させて乗員や歩行者にケガを負わせる危険もあり、安全な運行のためには販売店のサポートが不可だ。そのためにインターネットだけで完結させるわけにはいかない。
以前は、クルマには登録(軽自動車は届け出)の制度があり、署名や捺印も必要で、販売店に出向かず購入するのは困難だといわれていた。それが今はインターネットの普及で、事務的には販売店へ出向く必要はなくなったが、安全のために販売店との関係を保つことが大切になっている。クルマの売り方は昭和の時代を引きずっているように思えるが、販売店をなくすことのできない特別な商品なのだ。
文/渡辺陽一郎(わたなべ よういちろう):自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。執筆対象は自動車関連の多岐に渡る。
写真/Adobe Stock(アイキャッチ画像:Ruslan@Adobe Stock)