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なんと「たった5分」の超簡単「おつまみレシピ」…100円以下で作れる「なめたけ」はおにぎりにも合う

『おとなの週末Web』は、手料理の魅力も紹介しています。中でもお酒好きなら、お供になる肴にもこだわりたいところ。自宅で作った様々な料理で「おとなの週末」を楽しんでいる年金生活の元男性編集者が、二十四節気に合わせ、自慢の酒…

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『おとなの週末Web』は、手料理の魅力も紹介しています。中でもお酒好きなら、お供になる肴にもこだわりたいところ。自宅で作った様々な料理で「おとなの週末」を楽しんでいる年金生活の元男性編集者が、二十四節気に合わせ、自慢の酒肴を紹介します。連載第4回の「立春」編「おつまみレシピ「ふき味噌」を家のキッチンで「おいしく作る」超簡単な方法」に続く「雨水」編をお楽しみください。

じつは2月がお値打ちの「えのきたけ」

古くからの生活暦・二十四節気では、2日18日からの2週間は雨水(うすい)となります。少しずつ気温も上昇し雪も雨に変わる季節を迎え、凍っていたものも水となり、花芽や新芽など草木にも芽吹きの兆しが現れる時期。春はもうすぐということです。

69歳のオイラ。この時期の楽しみは「なめたけ」です。えのきたけを、瓶詰めの「なめたけふう」に炊いて、日々、ホットウイスキーとともに楽しんでおります。

「なめたけ? きのこは秋じゃない?」 というツッコミもあるかもしれません。ごもっともなことです。本来、自然界のきのこの季節は夏から秋でしょう。けれど今の世の中、きのこは1年じゅうスーパーや八百屋の店先に並んでいます。しいたけも、まいたけも、そして、えのきたけも同様です。

旬とは魚介類、野菜、くだものの味がもっともよくなるときで、同時に多く出回る時期であります。したがって価格も値頃。そこから導くと、えのきたけのように味が通年で安定している工場生産型農産物の旬とは、店先にたくさん並び、かつ、値頃感ある時期…オイラはこう考えます。

そんな事情で、2月のえのきたけはお値打ちです。物価高騰の影響もあり、以前に比べるとやや割高の印象もありますが、それでもまだ標準的なパック(200~250gほど)1個で、100円以下で販売するスーパーもあります。ですが、これが瓶詰めになると途端に高価になるのです。えのきたけなのに、なぜか「なめたけ」と呼ばれるしょうゆ味のアレです。

えのきたけのなめたけ、“瓶詰めふう”の作り方

作り方は簡単です。えのきたけを食べやすく切り、酒、しょうゆとともに炊く(煮る)だけです。 しかし、仕込むうえでは、えのきたけを「ざっくり割く」か、「できるだけ細く丁寧に割く」かで、下ごしらえの時間が大きく変わります。

えのきたけは、石づきに近い根元ほど密接しています。上部は包丁で切るだけで、1本1本がぱらぱらとほぐれますが、根元に近い部分は「かたまりの状態」で、切っただけではばらけません。

オイラは「さけるチーズ」を割く要領で、できるだけ細くしています。1パックのえのきたけの下半分をていねいに割くと、それだけで10分はかかるイメージです。この点だけは、唯一の難所かもしれません。 作り方をご紹介いたします。

【仕込み編】

1)えのきたけは、3パック(1パックおよそ200~250g)を用意する。

2)洗わずに根元に近い石づきの部分(オガクズのある部分)を3~4cmカットする。

3)石づきを除いたなめたけは、さらに上下半分にカットする。※この段階でえのきたけ1パックは、180~200gちょっとに。3パックで500~600gほどとなる感じです。

4)カットしたえのきたけの上半分はほぐれているが、根元に近い下半分は密接しているので、できるだけ丁寧に割いてこまかくほぐす。※3パックなら20~30分はかかると思います。

5) 鍋にたっぷり水を入れ火にかける。沸騰したら、ほぐしたえのきたけを入れる。

6)しばらくすると、えのきたけから白いアクが出てくるので、スプーンなどでできるだけ取り除く。沸騰したら火を止める。※吹きこぼれないように注意しましょう。

7)鍋のえのきたけをザルにあけ、水で洗ってぬめりをとり、10分ほどザルのまま水けをきる。

※オイラの作り方は、(6)(7)のように、えのきたけを下ゆでしてから味つけしています。独特のきのこ臭をおさえるためです。もちろん、下ゆでなしですぐに味つけ調理されても大丈夫です。えのきたけの風味が活きた濃厚な味わいとなります。その場合は仕込み編(6)(7)を飛ばして、調理編へお進みください。

【調理編】

8)煮汁を作る。鍋に酒100mlを入れ加熱し、アルコール分を少し飛ばしてからしょうゆ大さじ4(60ml)を加え、沸騰したら火を止める。

9) 煮汁の鍋に水100mlを注ぎ加熱し、市販のだしパック1袋(8g)を入れ、下処理したえのきたけを加える。※オイラは「茅乃舎だし 焼きあご入」を使っています。

10)火は中火。菜箸などで混ぜながら、煮汁を全体になじませる。沸騰してきたら2~3分、火を強めにして水分を飛ばす。※鍋底が焦げつかないよう火加減は調整しましょう。

11)仕上げにみりん大さじ2(30ml)と、酢大さじ1(15ml)を加え、全体をまぜて出来上がり。

12)ガラスボウルなどにあけ、2~3時間置いて味をなじませる。

※経験上、1週間以内に食べきりましょう。えのきたけ3パックでの仕上がり量は400~450gでしょうか。

容量100gのガラス瓶なら4つはできる感じです。保存する瓶は熱湯消毒してから使いましょう。また、冷凍保存する場合は、ジップロックなど冷凍保存袋に入れてから冷凍するのがよいと思います。

手作りなめたけは「シャッキリ感」が別格

トロ~ンとした味わいは、ごはんの友としても、酒の肴としても一級品。超ヘビーユーザーもいらっしゃるようで、主産地の長野県では「マヨネーズのような容器に入ったボトル入りなめたけ」もあるほどの人気者です。

血圧高めのオイラですが、瓶詰めのなめたけは昔から大好物です。しかし、年齢を重ねるとともに味の濃さが気になり、目下は瓶詰めふうのなめたけを薄味で手作りしています。 はっきり申し上げると、手作りのなめたけは瓶詰めでは味わえないシャッキリ感があり、別物です。さらにおにぎりの具材にしてもおいしい優れもの。

おそらくは、加熱している時間が決定的に違うのではないかと推察しております。手作りの場合、煮る時間はせいぜい5分ですから……。 味つけもお好みで自在に変えられます。長期の保存を目的としなければ、極端な話、「えのきたけを、だしで炊いただけのなめたけ」のような超薄味でも問題ないのです。

オイラは、人々が冬の鍋を食べ飽きた時期こそが、えのきたけの季節と勝手に思っております。つまりは、2月中旬の雨水の頃を、現代のえのきたけの「旬」ととらえているのです。理由を以下に記しました。

1)えのきたけは、きのこトップの消費量。多くが菌床栽培によるものである
2)菌床栽培とは、オガクズ粉などの培地に菌を植えつける栽培法
3)その菌床を室内のポット型容器で栽培し、通年で出荷している
4)とはいえ、えのきたけの最需要期は秋から冬。理由は、鍋の季節だから
5)生産量、出荷量がもっとも多いのは長野県産で、例年1月~2月が最大とされる
6)いっぽう、東京中央卸売市場での取扱量は最需要期中、2月がもっとも少ない
7)出荷量が多いにもかかわらず、市場需要が減ると市場を経ない流通量が増える
8)結果、2月はえのきたけがスーパーなどで一番お得に出回る時期と感じている

参考文献/東京都中央卸売市場市場取引情報(月報)令和3年1~12月取扱実績、長野県園芸畜産課「長野県の菌床栽培きのこのページ」

…つづくおつまみレシピ「ふき味噌」を家のキッチンで「おいしく作る」超簡単な方法では、春の酒肴、ふきのとうの簡単レシピを紹介しています。

文・写真/沢田 浩

さわだ・ひろし。書籍編集者。1955年、福岡県に生まれる。学習院大学卒業後、1979年に主婦と生活社入社。「週刊女性」時代の十数年間は、皇室担当として従事し、皇太子妃候補としての小和田雅子さんの存在をスクープ。1999年より、セブン&アイ出版に転じ、生活情報誌「saita」編集長を経て、書籍編集者に。2018年2月、常務執行役員パブリッシング事業部長を最後に退社。

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